こんにちは♪
アクリル画家、絵画講師の初香です。
今回は服の描き方を解説していきます。
人物を描いていると裸婦でなければ必ず服を描くことになるので、人物をよく描く人にとっては、確実に身につけたい技術になります。
一言で服と言っても、その形状も、素材もそれぞれで、違いを描き分けなくてはいけません。服を描くときによくある失敗に、シワが不自然になる、体の厚みが感じられなくペラペラになる、どんな服も同じ調子になってしまう、ということがあります。
今回はそんな問題を全て解消して、加えてアクリル絵の具での質感の描き分け方も解説していきます。
目次
体を描く
体を描かないと
服を描く前に体を描いてください。
体を描くといっても細かく描く必要はないので安心してください。
体のラインがわかるくらいで大丈夫です。
体を描いておくことで、シワの形を正確に捉えることができるようになり、自然で立体的な体に見えるようになります。
体に服を着せる
体を描いたらその上から服を着せるイメージで描いていきます。
服を着せる時は体の回り込みを意識して描きましょう。
そうすることで体の厚みが感じられるようになります。
体で隠れて見えないところがどのように繋がっているのかイメージして描きましょう。
シワのより方
服の特徴はシワに現れます
シワができるところ
シワは素材によって入り方は変わりますが、入る場所はだいたい共通です。
体の関節部分やたわみの部分、引っ張られらところにシワがよります。
関節で大きく動く部分に多くシワがよります。脇の部分や、肘、膝、股です。
後、トップスをボトムにインしていたり、たわんでいると腰のところでシワがよります。
シワの種類
シワには3種類あり、引っ張りジワとたわみジワ、癖によるシワです。
引っ張りシワは体の動きや重力によって引っ張られた時にできるシワです。
たわみシワは服がたわんでたまったところにできます。
後は、アイロン前のシャツがシワシワだったりする、癖のシワです。
素材の描き分け
素材の質感を出すにはそれぞれの特徴を描き分けなくてはいけません。
同じ素材でも、厚みが違えば表情が変わりますし、新しいか使い古されているかでも随分と変わってきます。今回お伝えする特徴は、こういう傾向があるという話なので、実際は実物を良く観察してください。
素材を描き分ける3つのポイント
素材を描き分けるには3つのポイントがあります。
・体に添い方
・ライン
・艶感
この3つです。
素材ごとにその特徴を見ていきましょう。
コットンシャツ
コットンシャツはハリのでる素材なので、体にピッタリ沿わずに、シワの形で体から浮いた形になります。
ラインは ハリ感の強いものほど直線的 になり、 薄手やくたびれたものはハリ感の強いものより曲線になります。
艶はマットです。
シルク サテンのブラウス
シルクやサテンは柔らかくストンと落ち感があり、体のラインによく沿う形になります。体から浮いた部分はストンと滑らかに落ち、曲線で流れるような形になります。
強い艶感
シフォン
シフォンはシルクやサテンよりハリ感が出せる素材で、体に沿わない立体的な形ができます。
ラインは張りの強さによって変わります。
艶感はシルク、サテンよりも少なくなります。
リネンのワンピース
リネンはハリ感はないですが、軽く体から浮きます。ラインは細かな曲線でラフに描きます。
艶感はマット
ウールのコートやジャケット
ウールのコートやジャケットは 厚くハリの強いもので体に沿わずに浮いた形になりす。
ラインは直線的で、シワの数は少ないです。
艶感はマット
レザー
レザーはものによって厚さ硬さはまちまちです。
薄いものでも他の生地よりも厚みもあるので、 ハリがあり、体からうきます。 ラインは曲線になり、薄いほど細かな曲線、厚いほど大きな曲線です。
レザーは癖がつきやすいので縫い目近くや、動きの多い腕にシワの癖ができて、よりシワが多く感じます。
鈍い艶感
デニム
デニムはハリ感があるので体から浮きます。ラインは曲線ですが、新しいものほどハリ感が強いので直線的になります。
関節部分には大きなシワがより、縫い目には細かなシワが入ります。
デニムは擦れて色落ちして、実際にはシワが入っても、シワが入って見えるところがあるので気をつけて見てください。艶感はマット
ニット
ダブッとしたニットです。
体に乗っかるところは体に添い、それ以外は浮きます。
大きくゆったりとした曲線になります。
ピッタリニットは体に張り付くところにはシワは出来ず、関節部分に細かくシワが入ります。
ラインは細かい曲線です。
艶感はマット
ストレッチ素材
ストレッチ素材は体にピッタリと添い、 密着したところにはシワは入りません。
関節部分に細かな曲線のシワが入ります。
体から離れているところは引っ張りジワが少し入ります。
アクリル絵の具で素材を描き分ける
アクリル絵の具で質感を描き分けてみました。
どのように描いたのが紹介します。
コットン
ごく淡い青みグレーで全体を塗り、影の部分は少しだけ濃いめに塗る。
影の部分に紫やピンクを薄く溶いたものを部分的に塗ってニュアンスをつける。
白で明るいところを描き起こす。
パリッとしたコットンはシワを直線的にして、柔らかいコットンはシワを柔らかい曲線にする。
サテン
オレンジ色を全体に均一に塗り、白を混ぜた明るいオレンジで光の部分を描き起こし、影の部分を少し茶色ががった色で塗った。
艶の部分を白を混ぜたオレンジ色で描いたので、くすんだ色味になってしまったので、上からグレーズで鮮やかな色をかけて色の調整をした。
最初に均一に塗らずに、白い画面の状態から明るいところ、暗いところを描き分けていたら、白をあまり使わずに明るいオレンジ色で描けたので、良かったかもしれない。
明るいところと暗いところのコントラストを強くすると、強い艶感が表現できます。リネン
グリザイユの要領でモノトーンで描いた上から色を重ねて描いた。
影の部分はベタ塗りで、明るいところは平筆の腹で、水を使わない絵の具をポンポンと叩く感じで色をのせた。
影の部分が不自然に浮かないように影に馴染むくらいの暗めの色でもポンポンする。
リネンは柔らかく細かなシワが入ったテクスチャーなので、 シワのエッジをはっきり描くよりもポンポン叩いて色むらを作ってシワを表現した。
レザー
レザーは鈍い艶感が特徴です。
最初にベタ塗りで少し明るめに明暗を描き分けます。
細筆でレザーの肌のキメ部分の艶を点描で描き起こす。
点描が浮かないように上から黒をグレーズしました。
薄手のこなれたレザーになりました。
厚手のレザーにするには艶の部分のまとまり のエッジをもう少しハッキリさせてスッキリするとなると思います。キメは省略した方が厚手のハリがあるレザーに見えると思います。
デニム
デニムの色を均一に塗り、荒目のスポンジで明るい色と暗い色でポンポンと叩いて色をつけて明暗を分ける。
明るさの境目部分は両方の色でポンポンして馴染ませます。
だいたいの調子が出たら細筆で、 織り目の筋を部分的にいれます。
ニット
濃いめの色を均一に塗り、影の暗さを塗る。
明るい部分に網目の1番光が当たって明るいところを描き起こしていきます。
特に明るいところや手前のところ、主要な部分にしっかりと網目を描き起こし、他の部分はそれらしく見える程度にさらっと描写する。
まとめ
私も昔はどんな服も同じように描いていましたが、服一つとってもこんなにも細かく違いがあったんですね。
一辺に全部を意識して描くのが難しければ、
○体を描いて着せる
○シワの位置と種類を意識する
○線のタイプ、直線的なのか、曲線的なのか
これだけ意識することから始めるのがいいと思います。
慣れてきたら細かいところまでこだわって描いてみてください。
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