こんにちは♪
アクリル画家、絵画講師の初香です。
今回はアクリル絵の具の透明色、不透明色の使い方についてお話ししていきます。
アクリル絵の具には色によって 透明色、半透明色、半不透明色、不透明色 とあります。
しかし、あまり意識して使って無いのではないでしょうか?
しかし、透明色、不透明色を使いこなせるようになると、表現力をアップさせることができます。
今回は透明色、不透明色をどう使うのか説明していきます。
目次
絵の具の透明、不透明
アクリル絵の具の透明、不透明
アクリル絵の具には透明度が高い方から、 透明、半透明、半不透明、不透明 があります。
色の元になっている顔料が何から出来ているのかによって変わります。
透明度は絵の具のチューブに表記されています。
記号で表記されているものもあります。
左から半透明、真ん中半不透明、右不透明 透明は⬜︎です。
水彩絵の具の場合、一般的に水彩絵の具といわれるのは「透明水彩」のことです。
「透明」と名前がついていますがアクリル絵の具と同じように透明色、不透明色があります。
学童用の透明水彩絵の具には透明、不透明の表記はありませんが、本格的な透明水彩にはアクリル絵の具と同じように表記があります。
アクリルガッシュ
アクリルガッシュはアクリル絵の具と混同されやすいものですが、別物です。
アクリルガッシュや水彩のガッシュはアクリル絵の具や透明水彩よりも顔料の比率が多く、全ての色が不透明です。
ガッシュは不透明で隠蔽力が強いので、下に塗った絵の具を完全に覆い隠します。
ムラなく均一に塗れるのでポスターやデザイン画に向いています。
しかしガッシュは展色剤の割合が減るので、耐久性が弱くなります。
描いたその場ではよくても後にひび割れたり、剥離したりする可能性があり、 長期間残しておきたい絵画には向きません。
データ化したり、印刷物にするなど原画を残す必要の無い、デザイン画やイラストなどに向いています。
アクリル絵の具や透明水彩の不透明色はガッシュの不透明とは違い、耐久性も大丈夫なものです。
透明、不透明の使い分け
使い分けるメリット
透明色不透明色を使い分けずに描くと単調な調子になりがちです。
ポスターカラー(ガッシュ)を使ったときのことを思い出してください。
ムラなく均一に塗れますが、画面全体がマット同じような調子になっていませんでしたか?
ポスターやデザインがならば、それで良いですが、絵画作品を描くときは、もっと質感をかき分けたいところです。
カラッと乾いた質感やしっとりと艶感のある質感、ガサガサしていたり、なめらかだったり。
それを表現するのは、配色であったり、コントラストであったり、タッチであったりするのですが、透明色、不透明色の使い分けも大きなポイントになってきます。
例えば、不透明色の絵の具をドライブラシで塗る、とカサカサした調子になって乾いた質感になります。
不透明色で描いた上に、さっと透明色を重ねるとみずみずしい質感が出てきます。
透明色を使う効果には
・色を鮮やかにする
・色味を変える
・色を暗くする
このような効果があります。
色を鮮やかにする
色の明暗の変化をつけるときに、色相の変化で明るい部分、暗い部分を表現すれば鮮やかに描けます。
しかし、色相の変化では足りない明るさ、暗さを出したい場合、色相のは変化させずに明暗を作りたいときは、白や黒を混ぜて明暗を作ります。
白や黒を混ぜるとどうしても鮮やかさが落ちてしまいます。
透明色には鮮やかな色が多くあります。
透明色を薄く溶いて塗り重ねると、鮮やかな色味を出すことができます。透明色を溶いて重ねることをグレーズと言います。
色味を変える
透明色を重ねることで色を濁らせることなく混色することができます。
絵の具は混ぜる色数が多くなる程濁っていきます。
1番鮮やかなのは混色しないチューブから出したままの色です。
チューブになっている時点で複数の顔料を混ぜて色が使ってありますが、近年は単一顔料で鮮やかさを極限まで残した絵の具も出てきていますね。
使ってある顔料はチューブに表記されています。
このように絵の具を混ぜると鮮やかさが落ちて濁っていきますが、
混色しない透明色を重ねることで色が濁ることなく混色して見せることができます。例えば不透明色の黄色で描いた上に青色の透明色を重ねると緑色に見えるようになります。
色を暗くする
色が明るすぎるときに透明色をグレーズすることで暗くすることができます。
サングラスをかけるイメージです。
暗くしたいところに色を重ねます、無彩色でグレーズすれば色味をほとんど変えることなく暗くすることもできます。
画面全体にグレーズすることも出来ますが、調子が単一になりのっぺりしてしまうことがあります。
そうなると画面が弱くなってしまいますので、画面の調和は崩さないように気をつけながら上から描き足します。
描いてみた
実際に描いてみました。
不透明色で描いた後、透明色でグレーズして、描き込みは不透明をつかったり、透明色を使ったりしました。
若干明るめに描く
グレーズで色を重ねると色は暗くなっていきます。
上からグレーズをかけることを念頭において、若干明るめに描いておきます。
明るいところは白を混ぜて描くことになるので、どうしても 白くくすみ鮮やかさが落ちてしまいます。
背景もモチーフも同じマットな質感で単調です。
色を鮮やかにしながら色相を変える
黄色味が足りなかったので透明色の黄色を薄く溶いてグレーズします。
この写真は左側は黄色がグレーズされて、右側はまだグレーズされていません。
色味の違いと色の鮮やかさが違うことがわかります。
青みが欲しい部分に透明色の青をグレーズします。
透明色の緑でグレーズして緑色の調整もしました。
暗くする
暗さが足りないところを暗くすることができます。
透明色の暗い色を使って重ねると暗くしたり、調子を落ち着かせたりすることができます。
スカンブルで艶感を出す
半透明の色を重ねると、完全に覆い隠さず、下の色を透かせながらある程度隠すことができます。透明色でなく半透明の色でグレーズすることをスカンブルと言います。
葉の照かって白く見えるところに半透明の白(ミキシングホワイト)でスカンブルします。
金属やガラスなどの強い照かりは不透明の白で表現してコントラストを強くしますが、柔らかい光沢の場合はコントラストを強くつけないので、スカンブルでも可能です。
半透明の白はうまく使わないと画面が汚く見えてしまうので注意が必要な色ですが、上手く使えば効果的です。
風景画の霧を描くのに便利です。
完成です。
背景も塗ったので、画像の明るさが違うように見えますがほぼ同じ明るさです。
白ボケが直り、発色と艶感がでました。
まとめ
いかがでしたか?
何気なく使っていた透明色、不透明色を、意識的に使うととっても便利に使うことができます。
なかなか感覚をつかむまでは慣れないでしょうが、使いながら覚えていきましょう。
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