アクリル絵の具に使う「筆」の選び方:初心者にもわかりやすく解説

 

こんにちは♪

アクリル絵の具、絵画講師の初香です。

著者のアクリル作品

今回はアクリル絵の具で描く時の筆の選び方についてお話します。

私は元々油絵専門だったので、筆は、油絵用の豚毛と馬毛しか使ってなかったので、何を買っていいのか迷うことなく変えたのですが、

アクリル画を描き始めてからしばらくは手持ちの適当な筆で描いたり、何がいいのかわからず、闇雲に買ったりしていました。

同じように筆選びで迷っている人の為に筆の選び方を解説します。

筆ってカタカナが多くて何のことやら分かりません
助手ネコ
助手ネコ
初香先生
初香先生
筆の種類も説明するよ

今回は、アクリル絵の具を使って書くときに適した筆をお伝えし、

他の筆もどのようなものが何に適しているものなのか、わかるように解説します。

 

アクリル絵の具に適した筆

筆には、毛の種類の違いや形の違いがあります。

 

 画材によって変えるのは毛の種類です。 

 

 形はどんなところをどのように表現したいかによって変えます。 

 

筆の毛の種類

筆の毛は大きく分けて、人口毛のナイロンと天然の動物毛とあります。

人工毛は、大量生産ができ、安価で入手しやすいですが、動物毛は年々入手が難しくなり、値段も高価なものが多いです。

 

 動物の毛はとてもデリケートでメンテナンスも重要です。 

 

アクリル絵の具に適した筆は

 

 アクリル絵の具には、合成繊維のナイロン毛が適しています。 

アクリル絵の具の粘度は油絵の具と水彩絵の具の間位の粘度になります。

油絵の具は硬くずっしりとしているので、豚毛の強い腰のものでないと硬さや重さに負けてしまいます。

水彩絵の具は水を多く使うので、水含みの良い柔らかい筆が適しています。

 

 アクリル絵の具は、その中間で、適度に腰がある筆が適しています。 

アクリル絵の具は、乾きが早く乾くと耐水性になり筆に負担がかかるので、筆の消耗も早くなります。

なので、適度な弾力と消耗品として、買い替えやすい価格のナイロンが最適です。

 

水彩風に描きたい場合は

アクリル絵の具は水で溶いて使えば水彩絵の具のように使えます。

 

 水彩絵の具のように使う場合、ナイロンの筆では、水や絵の具の含みが足りません。 

絵の具の含みが足りないとすぐに、絵の具がかすれてしまいます。

絵の具の含みが良いのは動物毛です。

セーブルやコリンスキーが代表的なものですが、とても高価なものになります。

アクリル絵の具で使う場合は、こまめで丁寧なメンテナンスが必要になる上、消耗品と割り切る必要があります。

代わりにリセーブルネオセーブルと呼ばれるものがあります。

 

 リセールやネオセーブルは、ナイロンに特殊加工をして、天然門に近づけたものです。 

ナイロン毛の絵の具の含みが悪いデメリットをカバーしています。

天然もには及びませんが、普通のナイロン毛よりも水彩風に使いやすいと思います。

 

筆の形や大きさ

筆には、毛の違いだけではなく、形や大きさの違いがあります。

どのように使い分けるのかお話ししていきます。

筆のサイズ

筆のサイズはそのまま簡単に考えればいいです。

 

 広い面は、大きなサイズの筆、細かなところは小さいサイズの筆を選んでください。 

描きたい部分の大きさに合わせた筆で描かないととても描きづらかったり、思うような表現ができません。

最初は広い面を塗る刷毛から細部まで描写する細筆まで満遍なく用意するのが良いです。

自分の作風が定まるようになると、よく使うサイズと使わないサイズがわかってくるので、自分の作風に合ったものを選ぶと良いでしょう。

 

穂の長さ

初心者の方は、穂先の短いものの方が扱いやすいのでお勧めです。

 

 穂先の長いものは、絵の具の含みが良いですが、穂先の動きも大きくなるので、コントロールが必要になります。 

毛の量も多いほど、絵の具の含みが良く、弾力が強くなります。

 

筆の形

筆の形は、自分の描きたい部分やどのようなタッチで書きたいのかによって変えます。

ラウンド

ラウンドとは丸筆のことです。

先端が丸く尖っていて、 細かいタッチや点描、強弱のある線など が描けます。

先の方だけ使えば、細い線が書け、少し押さえつけるようにすれば太い線が描けます。

筆の形に方向性がないので、アグレッシブに動くことができ、生き生きとした描画ができます。

フィルバート

フィルバートとは、平筆の角が取れて丸みを帯びたものです。

なめらかなブレンディングができ、自然な曲線的な描写に適しています。

 

 スタンダードな書き込みやタッチができるので、初心者にも使いやすい基本的な形です。 

 

フラット

フラットとは、平筆のことです。

 

 広い面をいちどに塗るのに適しています。 背景のグラデーションやぼかしの他にも、エッジを使って細かな角を塗ったり細かな線を描くこともできます。

デザイン系の塗り方にも適しています。

 

ファン

 

 毛が扇形に広がった形の筆です。 

画面の上の絵の具をぼかしたり、筆に絵の具をつけて画面に叩きつけてタッチをつけたりします。

ライナー、スクリプト

ライナースクリプトは、 細い丸筆で線を描く ときに使います。

スクリプトは、ライナーよりも穂先が長く、絵の具の含みが良いので、長くならかな線を描くときに使います。

 

毛の種類

 

セーブル

赤テンやイタチなど、 イタチ科の毛を総称してセーブル と言われます。

セーブルの中でもシベリアイタチの毛を「コリンスキー」と呼び最高級品です。

メーカーによっては赤テンの極上品をコリンスキーと呼ぶところもあります。

 

 セーブルは軟毛筆の代表格で、弾力があり、穂先のまとまりがよく細密な描写に適していま す。

絵の具の含みがよく、水彩画に最も適しています。

 

日本画 水彩画 アクリル画

 

リス毛

 

 柔らかくまとまりのよい穂先で、絵の具の含みが非常に良いです。 

水彩画に最適な高級な筆です。

 

水彩画

 

豚毛

硬毛の代表格で、油絵で使われるものです。

 

 油絵の具の硬い粘りにも負けない強いコシと耐久性があります。 

 

油絵

 

ラクーン

ラクーンタヌキの毛のことです。

 

 絵の具の含みが良く、強く弾力化があります。 

 

油絵 日本画 デザイン画

 

オックス

オックス雄牛の耳の毛で、弾力がある硬毛です。

絵の具の含みが良く、セーブルに続く優れた毛質です。

 

油絵

 

画用筆では1番ポピュラーな毛です。

 

 柔らかく、適度なコシがあり、絵の具の含みが良い。 

他の毛と混合して使われることもよくあります。

 

油絵 日本画 水彩画 アクリル画 学童用

 

山羊

 

 水の含みが良く耐久性が高くまとまりが良い。 

他の毛と混合して使われることもあります。

体の部位の違いによって毛の硬さに違いがあります。

 

日本画 デザイン画

 

毛先が細く柔らかくまとまりの良い筆です。

 コシに粘りがあるので、細い線を引くのに向いています。 

 

日本画 デザイン画

 

ナイロン

弾力が強く穂先のまとまりが良い。

量産できて安価で手入れもしやすいのでアクリル絵の具に向いています。

絵の具の含みは弱いです。

 

油絵 水彩画 アクリル画

 

リセーブル、ネオセーブル

ナイロンに特殊加工を施し、絵の具の含みを良くしたもの。

セーブルに似せて作られている。

 

油絵 水彩画 アクリル画

 

混合毛

 複数の動物毛を混ぜたり、ナイロンと動物毛を混ぜて、それぞれの良さを活かしたハイブリッドの筆もあります。 

混ぜるものによって描きごごちがかわります。

 

オススメの筆

ナイロン筆

私が使っているものは「丸善 インターロン」と「ターレンス ヴァンゴッホ」「ホルベイン ブラックリセーブル」です。

ぺんてるネオセーブルも使うことがあります。

 

インターロン

丸善 インターロンの写真
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インターロンは形状記憶の特殊加工がしてあり、穂先のまとまりがとても良いです。

私がメインに使っているメーカーの中では1番弾力の強いコシがあります。

アクリル絵の具をあまり溶かずに使うのに向いています。

 

ホルベイン ブラックリセーブル 700

ホルベイン ブラックリセーブルの写真
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 リス毛とリセーブルの混合毛でわ柔らかく絵の具の含みが良いです。 

私がメインで使っている中で1番柔らかい筆です。

水彩風に描くときに向いた筆です。

 

ターレンス ヴァンゴッホ ビジュアル筆

ターレンス ヴァンゴッホ ビジュアルの写真
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山羊毛とナイロンの混合毛です。

ナイロンの適度なコシに山羊の絵の具含みのハイブリッドです。

私が使う中では中間のコシです。

細筆でよく使います。

 

私の作風では、 広い面に水で薄めた絵の具をたっぷり塗るのに「ホルベイン ブラックリセーブル」に細部の描写に「丸善 インターロン」 があれば充分かなと思います。

ヴァンゴッホは学生の時から使ってるので何となく馴染み深く使っていますが、中間の感じなので特になくても困らないかなと思います。

逆にこれから始める人にはこの中間の感じが使いやすいかもしれません。

ぺんてる ネオセーブル

ぺんてる ネオセーブルの写真
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ナイロン100%で腰の強い筆です。

学童向けでもあり画材店でなくても買えて、リーズナブルなのも嬉しいポイントです。

私は特幅広の平筆で下地の色をいっぺんに塗るのに使っています。

コシがかなり強く、丈夫なのでガシガシ塗っています。

油絵風に絵の具のタッチを出して描くのにも向いていると思います。

私が使っているもの以外も紹介します。

アムス キャムロンプロ

アムス キャムロンプロの写真
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ナイロン100%のシャープな描きごごちの筆です。

油絵、水彩画、アクリル画に幅広く対応します。

名村大成堂 ナムロン

名村 ナムロンの写真
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 弾力がありアクリル絵具、油絵具にも使いやすい。 

耐久性が高い。

 

クサカベ アクアレッロ

クサカベ アクアレッロの写真
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弾力性、操作性、保水性のすべてにおいて理想の表現力を実現した、あらゆる動物毛を超越したと謳っているPBT化学繊維

高い耐久性がある。

 

ラファエル

ラファエルの写真
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コリンスキーに模して作られた人工毛。

繊細な描写に向いている。

 

動物毛

動物毛は油絵を描いていた時に豚毛と馬毛を使っていたくらいで、オススメできるほど詳しくありません。

なので今回は動物毛がどんな感じか試してみたいときに、お手頃価格で買える筆と言う観点で紹介します。

まず「馬毛」は学童用にも使われるポピュラーな筆で価格も安いので試しやすいです。

ぺんてる 高級画筆〈馬毛〉

ぺんてる 高級画筆馬毛の写真
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 学童用で馴染みの筆です。 

柔らかくで絵の具の含みが良い。

 

名村大成堂 ナムラSW

名村 ナムラSWの写真
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馬毛にイタチの毛を混ぜた混合毛です。

しなやかで弾力があります。

ナムラは手に取りやすい価格の動物毛から高価な動物毛まであります。

レオナルド

レオナルドの写真
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リス毛の筆です。

水をたっぷり筆に含ませることができるのでぼかしに適している。

毛先がまとまりやすく、毛先を使った描写に適しています。

 

ラファエル Raphael 8404

ラファエル Raphael 8404の写真
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高級なランクの筆ではラファエルの筆があります。

フランスの伝統あるメーカーで、憧れのメーカーです。

アクリル絵の具ではもったいなくて使えないですね。

 

 

筆のメンテナンス

アクリル絵の具は速乾性で乾くと耐水性になるので、 絵の具がついたまま乾かないように注意 が必要です。

使い終わった後のメンテナンスも重要す。

アクリル絵の具を使うのであれば筆は消耗品として考えますが、メンテナンスを丁寧にすることで、筆を長持ちさせることができます。

筆のメンテナンス方法をお伝えします。

 

絵の具を拭い取る

水で洗う前にある程度絵の具を拭い取っておきましょう。

筆の絵の具を拭う

ゴシゴシ擦ると傷んでしまうので優しく拭います。

直接水につけても良いのですが、アクリル絵の具で水質汚染を極力無くしたいので、ある程度拭ってもらいたいです。

 

水バケツで洗う

水バケツで振り洗いをします。

水バケツはいくつかにブロック分けしてあるので、予洗いスペース、仕上げスペースと分けて順番に洗います。

バケツで振り洗いをする

 

水気を拭う

水気を拭います。

水気を拭き取る

拭ったときに色が出てくるようだったら、水バケツで何度か繰り返し洗ってください。

 

石鹸を付けて洗う

石鹸を付けて手のひらでのの字を書くように回して洗います。

石鹸を付けて洗う

筆を押さえつけすぎると傷んでしまうので注意してください。

根元から穂先に向かって優しくしごいて洗います。

石鹸に色が付くようなら、すすいでから

また石鹸で洗ってください。

 

流水ですすぐ

色が出てこなくなったら流水ですすぎます。

手のひらでのの字を書くように回してすすぎます。

流水ですすぐ

 

水気を拭き取る

綺麗な雑巾などで水気を拭き取って、穂先の形を整えます。

水気を拭き取り穂先の形を整える

 

乾かす

風通しの良いところで乾かします。

決してドライヤーではかわかさないでください。

 

動物毛の場合

動物毛の場合は石鹸で洗うとバサバサになります。

リンスをつかって油分を補ってやればいいのですが、リンスのコーティング成分によっては絵の具の含みが悪くなります。

筆専用の石鹸や筆洗液を使えば筆を傷めず、コーティング成分の入ったものもあるので、せっかく高価な動物毛を使うのなら、専用のものを使うのが良いと思います。

 

まとめ

筆はいろんな種類があって何を買って良いのか迷ってしまいますよね。

 

 アクリル絵の具で書く場合は基本的にナイロン を用意していれば問題なく描けますが、こだわる場合は、アクリル絵の具絵の具向きの筆ではないものを使っても悪くありません。

豚毛を使ってもダイナミックなタッチができそうですし、自分で色々試してみて面白いタッチを探しても良いでしょう。

ただ動物毛の場合、特に丁寧にメンテナンスしてくださいね。

 

 ナイロンの筆でもメーカーによってコシが違ったり持ちやすさが違ったりします。 

いくつか試してみて自分の好みを見つけるのが良いと思います。

あなたにピッタリの筆が見つかるといいですね。

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