アクリル絵の具で使える水彩絵の具の技法:塗り方をわかりやすく解説

 

こんにちは♪

アクリル画家、絵画講師の初香です。

制作途中の絵

今回はアクリル絵の具を使った、水彩絵の具の技法をテーマにお話ししていきます。

アクリル絵の具は、水溶性の絵の具なので、水彩絵の具と同じ技法の多くが使えます。

アクリル絵の具と水産絵の具と違うところはアクリル絵の具は乾くと耐水性になると言うことです。

そのため一部の水彩技法は使うことができません。

アクリル絵の具で使える水彩技法と、水彩絵の具では難しいアクリルならではの技法もお伝えしていきます。

 

アクリル絵の具の特徴

技法の前に、水彩絵の具とアクリル絵の具の違いの話をしていきます。

 

アクリル絵の具の特徴

アクリル絵の具はチューブから出したそのままの硬さで描いて油絵のような描き方もできますし、水で薄めて書くと水彩のように描くこともできます。

乾くと耐水性になるので、下の絵の具が溶け出したりする心配なく、どんどん重ねて塗ることができます

水彩絵の具との違い

水彩絵の具は水で解いて使います。

1度乾いても水で濡れるとまた溶け出してくる性質があります。

 

技法の違い

この乾いた後の耐水性になるか、耐水性にならないかで使える技法も変わってきます。

水彩絵の具の重ね塗りは、下の絵の具が溶け出さないように、水の量をコントロールし優しく素早く塗る必要があります。

その点、アクリル絵の具は、下の絵の具を乾かしてから重ね塗りすれば、下の絵の具は溶け出さないので、重ね塗りがとても簡単にできます

逆に、水彩絵の具は、いちど乾いた絵の具に水をつけて、絵の具を拭い取る技法が使えます。失敗したところや濃くなりすぎたところを修正することができます。

アクリル絵の具は、いちど乾くと、水に溶け出さないので水で溶かして拭い取ることはできません。

このようにメリットとデメリットがあります。

水彩技法を使う

では、アクリル絵の具でも使える水彩技法をやっていきましょう。

ウォッシュ

ウォッシュは、ムラのない平塗りのことです。

筆に絵の具をたっぷり含ませて、一気に塗ります。

絵の具のたまりができるとムラができてしまうので、筆に含ませる絵の具の量を調節して塗ります。

ウェットインウェット

ウェットインウェットは、乾いてない上に絵の具を置いてにじませる技法です。

画面の上に水を塗り、濡らしておいた上から筆の先をちょんちょんと置くように色を置きます。

先に塗った水に絵の具が滲んで行きます。

にじみ具合は水の乾き具合によります。

たっぷり濡れている場合は、広くにじみ、半乾きの状態だと狭い範囲ににじみます。

 

ウェットインウェット技法 塗った色が乾かないうちに水を乗せる

先に塗っておくのを水ではなく、水で薄く溶いた絵の具を塗っておいて、上から別の色を置いてもできます。

上の写真は、青色をたっぷりの水で薄めて塗っておいた上から、色をつけてない水を置きました。

青い色を押しやってブロッコリーのような模様がつきます。

グラデーション

2パターンのグラデーションをやっていきます。

水を下半分に塗っておく。

水のついていない上の方から濃い色を塗り、上から順に水のついた下の方に塗っていきます。

水を含んで自然と薄くなっていきます。

次は2色のグラデーションを作ります。

上の方に水をたっぷり含んだ赤を塗る。

下から水をたっぷり含んだ黄色で塗っていき、境目に色を重ねて馴染ませるように塗る。

リフティング

リフティングは塗った絵の具を拭き取る技法です。

リフトアウト技法 塗った色が乾かないうちに拭き取る

絵の具が乾かないように手早く拭き取ります。

拭き取るのはティッシュでも、何もついていない筆でも綿棒でも、なんでも良いです。

アクリル絵の具の場合は水彩絵の具よりも急がないとすぐ拭えなくなってしまいます。

絵の具の含みの良い水彩紙と、あまり含まないケント紙ではまた違うと思います。

ウェットオンドライ

ウェットオンドライは「重ね塗り」のことです。

ウェットオンドライ技法 しっかりと乾いた上から別の色を塗る

下に塗った黄色がしっかりと乾いた上から青を塗りました。

色が重なった部分は色が混色されて見えます。

今回は重なりが分かりやすいように色をずらして塗りましたが、ずらさずに重ねて緑色の葉っぱを表現することもできます。

 

 緑で描いた場合と、黄色と青を重ねて描いた場合とニュアンスが違う ので使い分けるといいと思います。

ドライブラシ

ドライブラシ絵の具に水を含ませずに乾いた筆にとって、画面の上でかすらせるように塗る技法です。

ドライブラシ技法 水気のない筆、絵の具でかすらせるように塗る

何色か重ねることで色に奥行きを出すこともできます。

木や草むら、岩のゴツゴツ感や土の質感など、自然のものの質感を出すのに向いています。

 

スパッタリング

スパッタリングは絵の具を垂らしたり、飛び散らしたりする技法です。

スパッタリングの参考

やり方は色々あります。

絵の具をよく含む太めの筆にたっぷり含ませて画面の上で振る、大き目の粒になります。

筆を他の筆の柄などに打ち付けて飛び散らすともう少し細か目の粒になります。

筆でなく歯ブラシに絵の具を付けて指で弾くと細かなく飛び散ります。

網に歯ブラシを擦り付けるようにすると、飛び散る方向性がなくなり満遍なく細かな粒がつきます。

木や草むらの描写を省略して、それっぽく描いてあるように見せるときや、岩などの質感を表現するとき雪の表現などに便利です。

 

私は絵にニュアンスをつけるのに使うことがあります。

スパッタリングを使った作品

 

マスキング

マスキングは色を付けたくない部分にマスクをしてそれを色を塗った後に剥がすとで絵の具がつかない部分を作る技法です。

マスキングの手順 マスキングインクで描く

 

マスキングインクを白く抜きたいところに塗ります。

マスキングの手順 色を上から塗る

マスキングインクがしっかりと乾いた上から色を塗る。

マスキングの手順 マスキングインクを落とす

絵の具が乾いたら綺麗な指で擦ってマスキングインクを取り除く。

マスクキングインクだけでなく、マスキングテープなどでできます。

気をつけないといけないのは、紙に描く場合、紙がマスキングに耐えれるような作りになっている紙か確認することです。

耐性のないものだと紙の表面も一緒に剥がれてしまいます。

ガラスや金属の強い艶感を表現するのに、ハイライト部分にマスキングを使うのがオススメの使い方です。

 

アクリル絵の具の得意な描き方

アクリル絵の具の特徴を活かす

アクリル絵の具の乾くと耐水性になるという特徴を活かした技法もあります。

ブロックイン」という技法で、モノクロで描いておいてから上から色を付ける描き方です。

油絵のグリザイユの描き方と似ているのですが、違うのは紙の白さを活かして描くというところです。

ブロックインで描く

ブロックイン技法 紙の白を活かしてモノトーンで描く

白は紙の白を活かしてモノトーンで明暗を描く。

ブロックイン技法 固有色を塗る

固有色を塗る。

全体に同じ濃さで均一に塗っていますが、モノトーンで描いてあるので立体感が壊れていません。

ブロックイン技法 色味の調整、細部の描き込みをして完成

色味の調整をしたり、細部の描き込みをして完成。

色味と明暗を別々に考えられるため、初心者にオススメの描き方です。

夕焼けの風景などに描きやすい技法です。

作品の中での使われ方

私の以前描いた絵で見ていきましょう

ウェットインウェット

著者の作品で技法を見る ウェットインウェット

紺色で塗った上から紫色を滲ませて、下の方はそのまま紫色になるようにグラデーションにしています。

マスキング

著者の作品で技法を見る マスキング

白く残したい毛の流れの所にマスキングインクで描き、白く抜きました。

ブロックイン

著者の作品で技法を見る ブロックイン

黒い毛色の部分や影の明暗を描いておいた上から色味を足しています。

まろ眉の所など、茶色の毛の色味がくすまないようにそこはグレーで塗らずに白く残してありました。

スパッタリング

著者の作品で技法を見る スパッタリング

雰囲気付けでスパッタリングがしてあります。

 

 

まとめ

いかがでしたか?

水彩絵の具と同じ技法が沢山つかえますね。

水彩絵の具に慣れた人はこのような水彩技法から始めるのも良いと思います。

まだアクリル絵の具には油絵絵の具の技法も使えるので、合わせるとかなりの数の技法がつかえます。

とても表現の幅が広いということですね。

油絵の具の技法は次の記事でお話ししていきます。

水彩技法と油絵技法との合わせ技というのもありだと思います。

あなたにピッタリな描き方が見つかるといいですね♪

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