アクリル絵の具は水で溶いて使える絵の具です。
日本人ならば、子供の頃から水彩絵の具を水で溶いて使うことに馴染みがあるので、
同じように水で溶いて使えるアクリル絵の具は使いやすい絵の具だと思います。
扱いやすいうえに、色々な物に塗れて、表現の幅も凄く広い、とても魅力的な絵の具ですね。
その表現の幅をつくるポイントは、1番は「水」です。
今回はその水の使い方をお話します。
目次
アクリル絵の具は水溶性
水の量によって表現をかえられる
アクリル絵の具は水彩絵の具と同じ様に水で溶いて使えるので、
透明性のある絵の具で紙の白を活かした水彩画の様な表現ができます。
それだけでなく、
アクリル絵の具は水を使わずに描くことができます。
水を使わなければ、絵の具の厚みや、筆跡を残した塗り方ができ、油絵の様な表現もすることができます。
水溶性のため扱いが簡単
油絵の場合、溶き油の乾性油と揮発油のバランスを調整しなければならなかったり、
下の層から順に乾燥するよう、乾燥バランスを調整しなければならなかったり、
道具の手入れが大変など、厄介なこともありますが、
アクリル絵の具は制約が少なく、感覚的に扱うことができて、道具の片付けも簡単にできるので、とても扱いやすいです。
油絵のように描ける
水を少なく厚塗りができる
アクリル絵の具を水で溶かず描けば、筆跡を残した油絵の様な重厚な表現ができます。
筆が水を含んでいると絵の具が緩く薄まってしまうので、水をよく拭き取ってから使ってください。
ペインティングナイフを使って描くこともできます。
細かな描写をする時は、絵の具が硬すぎると繊細な表現ができないので、少しずつ水を足して硬さを調整します。
重ね塗りができる
アクリル絵の具は乾くと耐水性になり、耐久性の強い層を作るため、油絵の様に何層にも重ねて描くことができます。
なので油絵のように、
下塗りに水で溶いた色を塗り、水を使わず描き起こして、仕上げに水で溶いた薄い色でグレースをする。
というような油絵のアカデミックな書き方もできます。
デメリット
油絵は乾くのが遅く数日かかるので、画面の上で絵の具を混ぜる様な描き方や、グラデーションが作りやすいですが、
アクリル絵の具は速乾系なので、画面の上で絵の具を混ぜたいと思っても、
手早く塗らないと、先に塗った絵の具がすでに乾いてしまっていて混ざらないということになります。
アクリル絵の具の乾燥を遅らせるメディウムもあるので、上手く使えば、このデメリットはカバーできます。
水彩画のように描ける
水をたっぷり使う
水をたっぷり使って描けば、水彩画のような表現ができます。
しかし、最初からたっぷり水を混ぜて薄くなりすぎてしまった場合、絵の具を追加しなくては行けなくなりもったいないので、
少しずつ水を混ぜて調整しましょう。
アクリル絵の具を使うメリット
アクリル絵の具は乾くと耐水性になるので、先に塗って乾いた色は、水に濡らしても溶け出ることはありません。
なので、ウエットオンドライなど、絵の具を重ねての表現がやりやすいです。
アクリル絵の具を使うデメリット
逆に、一度乾いてしまうと、リフトアウトなど、画面の絵の具を溶かして拭い取るような表現はできません。
修正もしづらくなります。
水を使う時の比率
表現によって水の量を変える
お話してきたように水の量によって色々な表現ができます。
絵の具と水の比率はの基本は2:1とされますが、自分の表現に合う水の量にして問題ありません。
アクリル絵の具を使っていくうちに自分の絵に適切な水の量がわかってくるので、どんどん描いていきましょう。
薄めすぎに注意
水で薄めすぎた場合、アクリル絵の具の定着力が弱まり、剥がれ落ちてしまう心配があります。
ごく薄い色にまで溶いて使いたいときは、市販の薄め液を使いましょう。
薄め液を使えば定着力を落とさずに色を薄めることができます。
支持体によって水の量を変える
アクリル絵の具は色々なものに使えることも魅力の一つです。
しかし、何に描くかによって水の量を変える必要があります。
• 紙 水の量は関係なく使えるが、水で薄めて使うのに向いている。
• キャンバス 水の量は関係なく使えるが、溶かずに使うのに向いている。
• 木製パネル 水の量は関係なく使える。ジェッソなど下地材を必ず塗ってから使う。
• 木、石 絵の具の伸びをよくする程度に水を使う水は最小限に。下地材を使うのもお勧め。
• プラスチック 下処理をした後、絵の具の伸びをよくする程度に水を使う。水は最小限に。
• 金属、ガラス プライマーで下地塗りをして、水を使わずに描く。
ややこしく感じますが、要は定着しやすいものは、水をたくさんは使えて、
水を弾く様な定着しにくいものほど、水を控えます。
木は水を吸収してしまったり、水で濡れて灰汁が出てくることもあるので、絵を描くならば下地材は必須です。
アクリル絵の具の上に塗る時は
どんな素材に塗ってあっても、一度しっかりと定着させてアクリル絵の具が塗ってあれば、
その上から乗せる絵の具の水の量は自由にできます。
まとめ
アクリル絵の具は水加減でいろんな表現ができます。
水で薄めすぎると定着力が弱まるので、たくさん薄めたいときは薄め液を使いましょう。
何に塗るか、素材によって水加減が必要です。
紙や水性キャンバスならばそのまま、水加減も自由に描けますが、
プラスチック、石、金属、ガラスなどは絵の具の定着がしづらい物には、
事前の下処理をして、水を少なく濃い絵の具で塗ります。
水の量をコントロールして思い通りの表現をしよう
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