こんにちは♪

アクリル画家、絵画講師の初香です。

普段の制作風景
制作風景

今回は人体をリアルに描く方法をお話ししていきます。

体をリアルに描くためには、体の仕組みと、絵を描くときのポイントを押さえておく必要があります。

今回の記事を読めば人体の描くコツがわかり、上手く描けるようになるだけではなく、画力を上げる方法もわかります。

早速始めていきましょう。

美術解剖学

人体を描くときに、美術解剖学は必須になります。

解剖学をしっかり学ぼうと思うと、とてもハードルが高く思われますが、今回はそんな難しい事は言いません。

最小限これだけ頭に入ってれば描けますと言うものをお話しします。

余談ですが、私が大学生の時1番楽しみにしていた講義が美術解剖学でした。

その時の講義の教授は、近くの大学の医学部の教授でした。

だからか、バケツに入ったホルマリン漬けの脳みそと神経を見せられたり、頭蓋骨の下の外側からは見えない骨をひたすらスケッチさせられたり、全く美術解剖学とは別物を教えられてがっかりしました。

初香先生
初香先生
なので、私も「美術解剖学」を学んだことはありません汗

体の比率

人の体は個人差が大きく、スーパーモデルのようなプロポーションや、100キロ超えのプロポーションなど、人によって体の印象が大きく変わります。

個人差があるのならば絵に描く人物も少々誤差があっても自然な体に見えるんじゃない?
助手ネコ
助手ネコ
初香先生
初香先生
それがね、ちゃんとポイントをおさえて上手く描かないと不自然に見えてしまうんだ

ではどうしたら自然な体が描けるのか
1番のポイントは基本のバランスをとることです。
スーパーモデルのような足の長い人でも基本のバランスから極端に外れていることはありません
ある程度の範囲に収まっています

なのでまずは基本のバランスを覚えましょう。


上半身と下半身は1:1のバランスです。
上腕と前腕と手は1:1:2/3で、大腿と下腿は1:1です。

肘は腰の位置手首は股の位置にくる長さです。

骨格を見る

骨格図

骨の形を大体覚えておきましょう。

体を描く1番の基本は骨の形になります。

骨の形といっても、細かな形で覚える必要はありません。

どこにどのようなサイズであるのか、頭に入っていれば大丈夫です。

この骨格が大きな軸になり、体のバランス体の動きをとっていきます。

細かな部分でも、肘、膝くるぶしなど、関節部分は骨の形がよく見えてきます。

その骨の形をしっかり捉えて、描けると関節部分がリアルに描くことができます。

筋肉の形を見る

筋肉図

筋肉も名前などは覚えなくても良いので、どのような付け方をしているのか頭に入れておきましょう。

吾輩はムキムキマッチョを描きたいわけじゃ無いのですよ
助手ネコ
助手ネコ
初香先生
初香先生
ムキムキじゃなくても、体のラインは筋肉と骨、脂肪からできているんだよ

腕や足も、ただの筒状の形ではなく、筋肉の形に沿っててカーブを描いています。

筋肉の形を覚えれば、その微妙な形も自然に描くことができます。

学生時代、よくヌードモデルを描きましたが、輪郭には現れない。うっすらとついた影がなぜそこにそのような形であるのか、骨格や筋肉を知ることで理解することができました。

体を記号化してあたりをとる

次に実際に描いていくときの描き方を説明します。

単純な形に置き換える

人体に限らず、あらゆるものに共通することですが、描き出しからいきなり細かく描き出したり、輪郭を追って描くことはありません。

まずは単純な形でバランス、アタリを取ることから始めます。

参考写真

この写真を使って説明します。

関節、肋骨、骨盤

棒人間

実際に描いていく時は、このように棒人間にして、頭、胸、臀部のボリューム関節を○で描くと良いです。

肋骨や骨盤は、楕円や球体など単純な形にして、ボリュームが正しくとれていれば大丈夫です。

これを描いて、全体の体のバランスや、体の動き、流れ中心などを確認してから具体的な形に書いていきます。

球 円柱

幾何学図形の人体

体を球体や円柱などの幾何学的な形に置き換えてイメージします

このような図形に置き直すと俯瞰した時や見上げた時など、形が重なったときに構造がわかりやすくなります。

これは実際に描かなくて頭の中でイメージできていれば良いですが、イメージの中だけだとバランスがあやふやになるので、慣れない方は実際に描いてみるのを勧めします。

体の流れ 重心

他には、体の流れと重心を意識できるとよいです。

体の流れ

体の流れと重心

写真の赤で描いた線を見てください

体の流れは、体の傾きや、背骨のS字によってできる曲線、動きの方向です。

重心

どんなポーズを取っていても重心が取れているかは意識しましょう。

重心と体の流れ

写真の青い線です。

重心を意識しないと無理な傾きになったり、倒れそうな印象になり不自然に感じてしまいます。

確認の仕方

描いて終わりではなく、形の確認を必ずしましょう。

確認の仕方にはいくつかありますが、4つの方法を紹介します。

角度を見る

傾きを見る確認方法

1つ目は角度を見ます。

体の角度が同じかどうか比べてみます。

両足の角度が間違っていることがわかります。

余白を見る

余白を見る確認方法

2つ目は、形の輪郭を見るだけでなく、余白の形を比べて確認します。

実際より、横に広がった形になってしまっています。

体の外側を囲む枠を見る

枠を見る確認方法

体の広がったところを直線でつなげて枠を作ります。

その枠の形が同じか比べてみます。

右上の方がしぼんだ形になっていて、上の線の傾きも違っていることがわかります。

デジタルで重ねる

デジタルの確認方法

デジタルに取り込み、元の写真と絵を重ねてみ比べます。

この方法は細かなところまで明確に違いがわかります。

両腕と右足が長すぎることがわかります。

必ず修正する

間違いがあったら必ず修正しましょう。

確認して間違いを見つけて修正することを繰り返し行うことでどんどん形を見る目が養われて画力が上がります。

画力を上げる方法の一つなので、やらないのはとてももったいないことです。

紙がボロボロになっても気にせずしつこく確認修正しましょう。

実際に描いてみる

実際に描いていきます。

体の流れを見る

体の流れを見る

体の中心に線が入っているイメージでどのような傾き、流れがあるかを観察します。

体のボリュームを見る

体のボリュームを見る

頭、胴、腰のボリューム関節の位置を観察して描きます。

体のつき方を見る

見えないところを描く

隠れて見えない体も描きます。

初香先生
初香先生
お話ししている全てが重要なポイントですが、これは特にお伝えしたいポイントです。

この写真は見上げた角度から撮っているので椅子の裏面が見える角度で、お尻部分が隠れています。

他にも足が重なって見えなくなっているところ、服に隠れて見えなくなっているところも必ず描き込みます。

画像では消してしまった後ですが、足で隠れた胴の部分もです。

これを描いておかないと、足の付け根が胴体と繋がらない!とか、不自然な体のつき方になるからです。

これは写真よりも実際のモデルを見た方が、隠れた部分の形がわかりやすいと思います。

実際のモデルで描き慣れると写真でも隠れて見えないところの体の付き方を予測して描くことができるようになります。

筋肉の形を意識して輪郭を見る

筋肉の形をとる

体の形をとるのに筋肉の形を見るのは重要です。腕や足は特に意識しましょう。

服を描く

 

服を描くときは、服で見えてないところも体を描いておき、それに着せるように描きます。

体のボリュームが入っていることを意識して描けば、服のシワがなぜそこにその形であるのかを理解して描くことができます。

体のイメージなく表面だけ追って服を描くと、服のシワや、たわみなどが不自然なつき方になり、平面的な体になってしまいます。

薄く塗り始める

薄く塗る

最初は薄く塗り始めます

最初から濃く乗せてしまうと薄く直すことは出来ないので、様子を見ながら薄く塗り重ねます。

全体の明暗バランスを見る

全体の明暗バランスを見る

がどちらから差しているのかよく観察して描いてください。

色を塗る時はどうしても部分部分で見て塗りますが、全体の明暗のバランスも確認してください。

参考作品の完成

完成です。

まとめ

○美術解剖学の図を頭に入れる。

○簡単な形に置き換えてあたりをとる。

○流れや重心を意識する。

○見えないところの形も描く

○服は隠れている体を描いてそれに着せるように描く。

○光の向きを観察して描く。

いかがでしたか?

最初に美術解剖学という難しいそうな言葉が出ましたが、そんなに難しいことではなかったのではないでしょうか?

この描き方に慣れて、ムキムキなマッチョを描きたい人は、筋肉をもっと深掘りして勉強するのも良いでしょう。

形の確認方法で間違いを修正するたびに形を見る目がついてきます。

画力が上がる練習にもなるので正しい形になるまで何度でも修正しましょう。

練習するときは実際のモデルを描くと良いです。

実際に見て描くのと写真では情報量が全然違います。

写真では平面的に見えてしまうところも実際はすごくボリュームがあったり、体の骨付き、肉付きがわかりやすく微妙なラインがわかります。

隠れて見えない部分も写真よりわかりやすくなります。

身近な人にモデルを頼んでもいいですし、クロッキー会やデッサン会に参加するのも良いでしょう。

頑張ってくださいねb