こんにちは。アクリル画家の初香です。
私は、布にアクリル絵の具を布に染み込ませるようにして作品を作っています。
なので、今回のテーマは思いっきり私の専門分野になります。
アクリル絵の具と言うのは、塗れるものがとても多く、様々なものに塗れますが、どんなものにも塗れるとは限りません。
下塗りが必要であったり、プライマーが必要であったり、ものによって使い方を気をつけなくてはいけないものもあります。
布もアクリル絵の具で塗ることができますが、アクリル絵の具が不向きな布があったり、目的によって使い方も変わります。
詳しくお話ししていきます。
アクリル絵の具は布に塗れる?
布の素材
布の素材には、天然繊維と化学繊維とありますが、天然繊維のものには問題なく使えます。
化学繊維は13種類あるそうですが、13種類、すべてにアクリル絵の具が使えるわけではありません。
アクリル絵の具は布に使えるということはメーカーも明記していますが、布の種類までわかるものはありませんでした。
アクリル絵の具のメーカー「ターナー」から販売されているファブリックメディウムの説明書には「化学繊維は定着が悪くなるので避けてください」と描いてあります。
「ターナー」からは布用絵の具も販売されていて、
その布用絵の具の使える布については詳しい情報がありました。
布用絵の具も基本的にはアクリル絵の具と同じでアクリル樹脂を原料に作られているので、
布用絵の具で使える布であれば、アクリル絵の具でも使えると考えられます。
ターナーの記述
https://turner.co.jp/art/nunoenogu/index.html
ターナーの記述にも、特に化学繊維のものはあらかじめ目立たないところで試験してくださいとあります。
使える布の種類であってもいきなり本番に行かず、試してみてからの方が良いでしょう。
目的によっても使い方が違う
布にアクリル絵の具で描くといっても、キャンバスに絵を描くのか、服やカバン、靴などに描くのでは使い方が変わってきます
どんなものにどんな目的で描くのか、目的によって使い方が変わるので、目的別に布絵の描き方を説明します。
キャンバス
絵を描くというと、まずイメージするのはキャンバスですね。
キャンバスとは木枠にキャンバス布を張ったものです。
便利な張りキャン
キャンバスには木枠と布を別々に買って自分で組み立てるものと、既に木枠にキャンバス布を張ってある「張りキャン」とあります。
張りキャンはすでに下地を塗ってありますので、何も考える必要はありません。
買ってすぐに絵を描き始めることができるので便利です。
張りキャンを買うときの注意
張りキャンは「油絵専用」のものと「アクリル絵の具、油絵両用」のものと売っています。
「油絵専用」のキャンバスは油性の下地がしてあるので、アクリル絵の具は使えません。
キャンバスを買うときは気をつけて買ってください。
私の布作品
私は布を使って作品を描いています。
布にアクリル絵の具の染み込ませる感じで描いているのでふんわりとした印象の描き方になります。
キャンバスでない布に描いている
私が使う布は画材用のものではなく、手芸屋で売っている様な布です。
キャンバス布ではないので、使い方に注意が必要です。
糊落とし
買ってきた布(布製品)は糊が付いているので、一度洗います。
洗剤や柔軟剤は余計な成分が付いてしまうので使いません。
水(ぬるま湯)に浸した後、手で揉み洗います。
地塗り
布そのままの風合いを出したいので、下地剤などは何も塗りません。
メディウムを混ぜて塗る
ペインティングメディウムや布用メディウムをアクリル絵の具と混ぜて描きます。
バーニッシュは使わない
本当はバーニッシュを塗って画面を保護したいですが、布の風合いが出ないので塗りません。
その代わり額縁のアクリル板はUVカットのものをつかいます。
洗濯するもののアクリル絵の具の塗り方
アクリル絵の具で布に描いても、色落ちが心配ですよね。
私も今の作風になるまでに、色々な試作を試みてますが、布に糊付けをして描き、糊落としをする描き方を試してみたこともあります。
アクリル絵の具絵の具が服についてしまった時はなかなか取れないくせに、いざ作品にしようとしたら、想像以上に色落ちがしました。
今回はメディウムも使って描き方で色落ちの差はどうなるのか比較してみました。
先ずは塗り方の説明から始めます。
布を選ぶ
布製品に塗る場合は、その布の素材に気をつけてください。
アクリル絵の具に向いている布、向かない布があるので確認しましょう。
糊落としをする
手芸屋で売っている生地も、製品になっているものも、大抵のものは糊がついています。
糊が絵の具を塗る前に付いていると、糊が妨げになってしっかりと絵の具が定着しなくなります。
絵の具塗る前に一度水洗いをして糊を落として、しっかり乾かしましょう。
布用メディウムをアクリル絵の具に混ぜる
アクリル絵の具に混ぜて使う専用のメディウムが売られています。
https://www.turner.co.jp/brand/acrylgouache/ag-fabric/
https://holbein-shop.com/?pid=101499183
アクリル絵の具と同量から2倍くらいの割合で混ぜると、定着が強くなって、色落ちもしづらくなります。
メディウムを混ぜすぎると効果が弱まったり、ゴワゴワになったりするので注意です。
ターナーの布用メディウムを絵の具と1:1の割合で混ぜました。
メディウムは白色をしていて、混ぜた絵の具も少し白くなりました。
緑が特に白が強く見えます。
布に描く
アクリルガッシュは不透明なので、濃い色の布に塗っても発色は良いと思いますが、アクリル絵の具は半透明だったり透明色なので、濃い色の布に塗ると色がよく出ません。
ハッキリと発色させたければ、アクリル絵の具をのせるところの下に白色を塗っておくといいです。
布用メディウムを混ぜただけだと絵の具が硬いので、布の表面でかすれるようになりスムーズには塗りづらいです。
水を少し加えて塗ると布に染み込む感じで濡れるので塗りやすいです。
ただ、濃い布の場合は明らかに見えづらくなります。
比較のためにアクリル絵の具のみでも描きました。
メディウムを混ぜた方はやはり白が混ざった色になっていることがわかります。
下の段は白を塗った上に描いています。
濃い色の布はまだ下の色が透けていますが、ずいぶん見えやすくなりました。
裏移りに注意
布にアクリル絵の具を塗る場合、布に染み込むように絵の具がのるので、Tシャツの様なものだと、重なった布の方にも色が移ってしまいます。
裏移りしないように間に何か(ダンボールなど)はさんで塗りましょう。
私は刺繍枠を使いました。
裏移りしませんし、布がパンっと張るので塗りやすいです。
(セリアで売っている刺繍枠を使っています)
しっかりと乾かす
描き終わったら、2日くらいしっかりと乾かすと色落ちしづらくなります。
当て布を当ててアイロンをかけるとより強くなります。
洗濯してみた
アイロンをかけて2日間しっかりと乾かしました。
洗濯機でいつもと同じ洗い方で洗ってみます。
色移りがないか白いタオルも一緒いれました。
結果は色移りは全くありませんでした。
色落ちは写真でしか比較出来ませんが、ほとんど色落ちもしてないように見えます。
以前色落ちした時との違い
以前自分の作品の表現を試作していたときは、思った以上に色落ちしたとお話しました。
今回はアクリル絵の具のみで描いたところもほとんど色落ちしていないようです。
以前と今回何が違ったところは、
①以前は水を多く使って描いた。
②今回はアイロンをかけた。
③今回は洗濯機にかけたが、以前のは手で擦り洗いをした。
以前のものはメディウムを使わず、さらに水で薄めて描いたので、アクリル樹脂の量が減り定着が悪くなったと考えられます。
アイロンをかけなかったのも影響があったのかもしれません。
今回ほとんど色落ちしなかったので、試しに手でゴシゴシと擦り洗いをしました。
メディウムを使ったものも少し落ちました。
メディウム+水のものは色が薄くなる感じで色落ちしました。
他の水を使ってないのもは色落ちというイメージよりも剥がれ落ちる感じの落ち方です。
アクリル絵の具のみで、白を下に塗ったものが1番おちました。
擦り洗いはNGですね。
布用絵の具
https://www.turner.co.jp/brand/nunoenogu/
布用絵の具とアクリル絵の具の違い
布用の絵の具はアクリル絵の具と同じ、アクリル樹脂が原料になっている絵の具です。
なので、アクリル絵の具の布版と言っていいでしょう。
布に定着しやすかったり、塗りやすいようにアクリル絵の具の原料を調整してあるイメージです。
使い勝手もアクリル絵の具と同じ感じで塗ることができます。
アクリル絵の具はゴワゴワ感がでますが、布用絵の具はゴワゴワしないのも特徴です。
まとめ
アクリル絵の具で布に絵を描くことはできますが、布の種類の確認が必要になってきます。
アクリル絵の具だけで、絵を描くこと可能ですが洗濯をすることを想定した場合、メディウムか布用絵の具を使うことをお勧めします。
キャンバスの場合は、地塗りが施されてあり、アクリル絵の具でもとても描き安いですが、
下地塗りが施されてない。布に描く場合は、アクリル絵の具だと布の表面をかする感じに色がのったり、絵の具を薄めすぎると絵の具がにじんでいったりと、布ならではの描きにくさがあります。
何度もチャレンジすることでコツがつかめてくると思います。
アクリル絵の具で布に絵が描けると、絵画だけでなく日用品もオリジナルのものにできるのでとても楽しいと思いますよ。
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