『絵を描く前の考察、エスキースをしていますか?』
あなたは作品を描く前にエスキースはしてますか?
私はエスキースは絵を描く上で1番大事な部分だと思っているのですが、
エスキースをせずに作品を描くひとは結構多いようです。
特に素人はエスキースをしない傾向が強くて、
私の教えている絵画教室でも、
エスキースは重要だと話していても、あまりしてくれません💦
そこで今回はエスキースの重要性と、やり方をお話ししていきます。
『エスキースとは』
絵を描いている人でもエスキースを知らない人も意外と多くみえるので、
まずはエスキースとは何かお話しします。
エスキースとは、作品を描き出す前に、
作品より小さなサイズで色々なパターンを考察して描くことで、
描こうと思っている絵のイメージを明確にして、
構図、配色、などを練る作業です。
『エスキースの重要性』
いわばエスキースは絵を描く計画書です。
自分の表現したいことをしっかり伝わる絵にするためには、
効果的な演出が必要です。
絵を演出するというには
「ものの存在感を思いっきり出したいから、徹底的に描き込む部分と、それに対比させてサラッと描く部分を作ろうと思うけど、どこを描き込んで、どこを対比させたら効果的だろう?」
「静かな様子にしたいから、安定した構図で、彩度は抑え気味でいこうか?コントラストは強めがいいかな?弱めがいいかな?光源の方向はどうすると良いだろう?」
という感じで、どうすれば自分のイメージが明確に伝わるか、どう表現すれば、効果的に伝わるのか、ということを
小さなサイズで色々試してみて熟考することです。
これをしないで直接作品を描き出すと、
途中でどう描き進めたら良いかわからなくなり、制作に行き詰まったり、
何が表現したいのか、いまいち伝わらない絵になってしまいます。
『しくじり画家 初香の場合』
大学時代の私は、大学の課題の大作に追われて、大学の課題でもない小作を描く余裕はありませんでした。
大作ばかり描いていると、枚数を沢山書くことができずに、学びの回数がすごく少なくなってしまいました。
(一枚一枚目的を持って描けば、枚数分だけ学びの数も増えます)
そのため、エスキースは自分にとって、絵を学ぶ為に無くてはならないものでした。
エスキースは学びの宝庫です👍
『エスキースする画家、しない画家』
プロの画家の中でもエスキースを全くしない人もいます。
特に抽象画の画家が多いのですが、
その時の心の有り様が、エスキースをずることで白けてしまったり、時間を置くことで心が変わってしまうので、
生々しい今を表現する為に、エスキースをしない、ということがあります。
もちろん抽象画家でもエスキースをする人も居ます。
でも、自分の思いをエスキース無しで表現できる人でなければ、エスキースは必要です。
抽象画であっても、
構図や、配色、素材感、描画などの要素があって成り立っているものであるには変わりありません。
構図が上手くできない人が、色彩が上手く扱えない人が、抽象画を描いても、ただ絵の具を塗ったくっただけの〝物〟にしかならず〝作品〟にはなりません。
逆に著名なプロ画家でも、エスキースだと言われなかれば、作品だと思ってしまうほどの、描き込みや完成度があるエスキースをする人もいます。
作品によってどこまでエスキースをするのか、使い分ける画家もいます。
『エスキースのやり方』
エスキースには決まったやり方があるわけではありません。
自分の作風によってやりやすい方法でやれば良いとおもいます。
光と影にこだわりのある人ならば、形よりも先に、画面の中の明暗の配置から考え出すのもあり。
線で描き出しても、配色から考え出しても、
大学時代の私は抽象画を描いていたので、構図、面、塊を意識して、紙を切り貼りするコラージュでエスキースすることもありました。
描く道具は、鉛筆、色鉛筆、水彩、アクリル、コラージュ、ペンなどがあります。
油絵の具のように短時間で描けないものは不向きです。
オーソドックスな流れは
まずは、構図や形を、小さなサイズで色々なパターンをラフスケッチする。
その中で良さそうな物をピックアップして、少しサイズを上げて、少し詳しく描いてみる。
もっと良くなる為に何か変えるところがないか探ってみる。
ベストと思える物を確認しながら描く。
『私のやり方』
今、具象を描いているやり方を紹介します。
①適当な紙に、支持体(描く紙や、キャンパス、パネルなどのこと)の比率を適当に描いて、
鉛筆やボールペンで、構図を色んなパターン描いてみる。
私は支持体(私は布です)をそのまま活かす部分と、色を乗せる部分の構図を意識する為に、描く物の形から描き始めずに、色面の形から描いています。
②自分が表現したいことが、表現出来そうな物をいくつかピックアップする。
③サイズを少し上げて、ちゃんとした比率の枠を書いて、少し具体的な構図や形を、より良くするための調整しながら描く。
修正をしながら描けるように鉛筆で描く。
④ベストと思うものを、色も付けて確認する。
『構図を考えるのに役に立つ道具 紹介』
〝デスケル〟という道具があります
デスケルとは、静物画や風景、モデルなど、動かないものを描く場合、
構図を考えたり、形をとる時に役に立ちます。
透明なところから、対象を見て、どうトリミングができるか考えることが出来ます。
デスケルは描く支持体に合わせて縦横の比率で作ってあるので、支持体と同じ比率のものを使ってください。
デスケルで見て、この構図良さそうと思ったものを、エスキースに描いてもいくと良いです。
『デジタルでエスキースする』
エスキースはアナログでしなければいけないものではありません。
画像編集のアプリを使って、トリミングや合成、色調整など、簡単にイメージを変えることもできるので、
私も時々デジタルでエスキースすることもあります。
『まとめ』
エスキースは絵を良くするための重要なものです。
それだけではなく、エスキースをすることでセンスも磨かれていきます。
学びの宝庫です。
難しいことは何もないので、是非絵を描く前に取り組んでみてください。
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