こんにちは♪
アクリル画家、絵画講師の初香です。よろしくお願いします。
私は動物を描くことが多いですが、人物も描くことがあります。
私は子供の頃から人物を描き、予備校でも大学でも、人物は数えきれないほど描いてきました。
もう30年以上は、人物を描き続けてきたのですが、(人物だけでないですが)まだまだ上手くは描けません。
人物も描く絵描きなので、人物が下手では困るのですが汗、それだけ人物を描くと言うのは難しいということです。
特に、人物の顔は自然に描くことがとても難しいです。
逆に、一朝一夕でできないからこそ、上手くいったときは嬉しさもひとしおです。
人物は、芸術の最大のテーマなので、(人物を描くかどうかは別として)やはりライフワークとして、とてもやりがいのあることだと思ってます。
あなたも人物が上手く掛けたらいいなって思っていませんか?
今回の話は、顔を描く「知識」です。
ちょっとしたことに思えるかもしれませんが、知識があるのと、無いのでは圧倒的な技術差がでます。
逆に、知れば一気にレベルアップも夢ではありません。
今回はそんな顔を描くコツのお話をしていきます。
目次
顔を描くのはなぜ難しいのか?
顔を描くのはとても難しいです。
それは何故か?
不自然に感じやすい
顔は人にとって1番見慣れたものであることもありますが、
人は顔のほんの僅かな表情の違いで、相手の状況を察知して、体調の悪さに気付いたり、気持ちを読んだりすることで、人間関係を円滑にする力をもっています。
なので、ほんの僅かな違和感も強く感じ、不自然に感じるのです。
どうしたら自然に描けるのか?
逆にバランス良く描けていれば、決して本人に似ていなくても自然な人の顔に見えます。
もっと言えば、イラストのようなデフォルメされた形でも、バランスが取れているかどうかが上手い下手を左右すると言っても過言ではありません。
バランスを違和感のない範囲におさめる
バランスとは頭部の形のバランスと、どこにパーツがくるのかですが、顔によってこのバランスも違います。
人によって差はありますが、その差が違和感の無い範囲に収められるかということです。
記号的に描かない
イラストを描く人には、自分の好きな絵師の模写から始めた人も多いかと思います。
模写は絵を上達させるのにはとても有効な方法ですが、だだ何も考えずに手を動かしていても上達はしません。
デフォルメされたパーツが記号になってしまうからです。
技術的に上手い絵師はデフォルメされたパーツでも、必ずそのパーツの形の意味と、それがどのバランスであるのかを考え描いています。
頭の形、目の位置、鼻、口、耳の位置など、頭の中にある状態で描くのと、ただ模写するのとは見るところが全く違います。
全体のバランスが考えられていないので、おかしなところが沢山です。
顔のバランスをとる方法
顔のバランスはある程度、理論的に描くことができます。
その理論を覚えればバランス良く描くのがずっと楽になるでしょう。
しかし、理論一辺倒にならないようにはしたいですね。
硬い絵になってしまいますから。
2パターンのバランスの取り方
バランスの取り方は主に2パターンあり、どちらを使っても良いですが、自分の使いやすい方や、どういう顔を描きたいかによって使い分けるのもOKです。
初心者 イラスト向き
まずは初心者の方やイラスト分野の方にオススメの描き方から紹介します。
正面から描いていきましょう。
カット面は球の高さの2/3程度、カット幅が大きいほど細長い顔になり、カット幅が少ないほど丸顔になる。
①カット面の真ん中に縦線を描き、それを結んだ四角を描く。
②四角の真ん中の高さに横線を引く。
③丸の下に四角と3等分になる横線を引く。
④正中線を描く。
先ほど描いた線は上から、生え際、眉毛、鼻下、あご先の目安の高さになります。
それを元にパーツを描きます
下向きになるとき、上から見た図に少し近づくので、カット面は少し傾き、カット面を結ぶ線は真っ直ぐにはならずに球に沿う形になります。
生え際、眉毛、鼻、あご先の線も、きっちり3等分にはならず下の方にいくにつれ間隔が狭くなります。
顔のパーツが下の方にいき、頭頂部が広く見えます。
上向も同様に球に沿うように線を引きます。
正中線はどれだけ角度がついているかで位置が変わります。よく観察して引きます。
上向は顎下が見えて頭頂部が見えなくなります。
この描き方だと頭部全体のバランスがわかりやすいのがメリットです。
しかし、このバランスは大人のバランスを描くのはいいですが、子供や赤ちゃんの顔のバランスには当てはまらないので描くことができません。
バランスをきっちり作り込むので、その分アレンジしないとみんな同じバランスの顔になってしまいます。
絵画向き
次は絵画を描く人に向くやり方をお伝えします。
初香先生
私はこちらの方法で描いてます
○の中央に十字を描き、頭部の輪郭を描きます。
十字の縦が正中線、横が目の高さです。
生え際、眉毛、鼻、口の位置をよく観察して描き込み、それを元にパーツを描きます。
顔の角度によって目の高さの線、正中線が変わります。
球に沿うように線を引き、それを目安に頭部の輪郭、パーツを描きます。
こちらの描き方の方が簡単に見えますが、実はこちらの方が難しいです。
頭蓋骨の形を自分でバランスとって描かなくてはいけませんし、パーツも目の位置しか分からないからです。
自分で実物をよく観察してバランスをとらないといけません。
逆にこのアバウトさが、個人の顔の違いを描き分けたり、子どもや赤ちゃんの顔、幼顔のイラストを描くのに便利です。
見て描く?見ないで描く?
イラストを描く人は見ないで描くことが多いと思いますが、見て描いた方がいいのでしょうか?
見ないで描く
イラストを描く人は人物を見ないで描くことが多いと思います。
なので特に基本のバランスは徹底的に手で覚えていく必要があります。
しかし、実物を見て描くことも大事なことです。
たまにでもいいので、写真でもいいので実際の人物を見て描いてください。
見て描く
逆に絵画を描く人は写真を見たり、モデルを見て描くことが多いと思います。
個人の特徴を出すためにもよく観察して、バランスも細部も自分の目で確かめならが描かなくてはいけません。
そのため、バランスの基本に貰われすぎてはいけませんが、基本の知識無しではいけません。
基本のバランスを頭におきながら、実物と頭の中で照らし合わせながら、「だから目の端はこちら側を向くんだな」とか、形の理解を深めながら描いていきましょう。
モデルか?写真か?
絵を描くとき、または習作のとき、写真を見るのがいいか、モデルを見るのがいいのか?
私は両方ともやって欲しいと思います。
写真を見る
最初は写真から取り組むのがオススメです。
実際の人はじっとしていても動きますし、自分の体勢がちょっとズレただけでも見る角度がかわります。
そんな状態で立体物を描くのはとても難しいことです。
人物を描く難しさにプラスアルファ動く立体物を見て描く難しさがあることになります。
モデルを頼むハードルもあるのでまず写真で練習するのが良いでしょう。
気をつけたいのは面です。
写真は平面なのでどうしても立体の意識が薄くなってしまいますが、どちらを向いた面なのか常に意識して描きましょう。
モデルを見る
モデルを描くのは写真より難しくなりますが、立体の把握がしやすいので、是非モデルを見ても描いてください。
実際の人を描くことで、構造が把握できて、写真を見たときも「ここはこのような構造だからこんな形をしているんだ」と理解して描けるようになります。
身近な人でもいいのでたまにでもモデルを頼んでみましょう。
顔を描く工程、描き方
バランスの取り方を説明しましたが、ここからは実際に描いていく工程をお話ししていきます。
○からバランスの線を描く
まずは上で説明した通り○を基準にバランスの線を描き込んでいきます。
画面の中にどのように入れたいか構図を考えながら頭のサイズを楕円で描きます。
縦横のバランスが自分で取れるのならば球でなくて楕円から初めてもOKです。
楕円のだいたい真ん中が目の高さです。
角度もよく観察してつけてください。
正中線と、鼻、口の位置も観察して横線の印を付けます。
目の角度と並行になるように注意してください。
印を目安に位置の確認をします。
面の変わり目を描く
すぐにパーツを描き出したくなりますが、
まず面とりを行うとより立体感のある形の見方ができます。
頭部全体を立方体に見立てて、全面、側面、上面がどこで形が切り替わっているのか観察します。
目を描く前に目の凹み、面の変わり目を意識して描きます。鼻も面をとるように描けば、立体的になります。
パーツを直線で描く
バランスの線や面を描くことができたらそれを頼りにパーツを描いていくのですが、いきなり細かな形まで描写するようには描いていきません。
まずは真っ直ぐな線で傾きや場所を探っていくようにざっくりと描きます。
細かな形をとる
画面から離れて見たり、画面を回して違う向きから見たりしてバランスのおかしいところがないか確認します。
問題無ければ直線だったパーツを曲線で細部までよく観察して描き込みます。
これで完成です。
アクリル絵の具の表現
下書きができたら、アクリル絵の具を塗っていきますが、その前にアクリル絵の具についてお話しします。
アクリル絵の具は、とても表現の幅の広い画材なので、いろいろな書き方があります。
水彩風
1つは、水彩風の描き方で、アクリル絵の具を水で解いて、紙の白を生かしながら開きます。
水彩絵の具は、乾いてからも水がつくと溶け出してくるので、先に黒い色や強い色を塗っておくと、その色が溶け出して画面を汚してしまうので、薄い色から順番に塗っていくという縛りがあります。
アクリル絵の具は一度乾くと耐水性になるので、水がついても溶け出すことがありません。
なので、水彩絵の具よりも自由な順番で動くことができます。
先に明暗を書いておいて、その上から色をつける、ブロックインと言う技法がとてもやりやすいです。
他にも、絵の具をフィルターを重ねるように重ね塗りする塗り方も簡単にできます。
油絵風
油絵は不透明色と透明色を何層も塗り重ねて描くのが特徴です。
油絵風といっても、筆跡を残さない描き方もあれば、ゴッホのように筆跡をゴテゴテと残す塗り方もあり、アクリル絵の具ではそのどちらも表現することができます。
その他
アクリル絵の具は、とても表現の幅が広いので、水彩風や油風といったジャンルに縛られることなく他にもいろいろな表現方法がありますし、オリジナルの表現方法も編み出せるかもしれません。
例を挙げれば、コラージュであったり、指示体を木や、ガラス、金属、プラスチックなどにすることもできます。
どんな表現でも共通のこと
いろいろな表現方法がありますが、顔を書くときの共通したポイントというのがあります。
これはイラストでも同じです。
面を意識する
立体感を出すためには、面を意識する必要があります。
面というのは、顔の形を立方体で捉え、画面がどちらを向いているのかを観察し、形の境目を書くことです。
わかりやすいように写真を用意しました。
受験生はよく使う石膏像ですが、左側は本来の形の石膏像で、右側は面取りをした石膏状です。
この面取石膏像のようにと捉えて描くということです。
光の向きを意識する
2つ目に、光がどちらの方向から当たっているかを観察します。
面をとっておくと、その光がどこに1番当たっているのか?どこにどのぐらい当たっているのか?わかりやすくなり、この面と光で立体感が表現できます。
強調するところ 省くところ
3つ目は表現によって変わってくポイントなので、意識したくてもよい描き方もあります。
画面全体から、人物の全体まで、隙間なくみっちりと描写すると、どこが主役になるのかわからず印象が弱くなってしまいます。
そこで、引き算をして、しっかりと描写するポイントの部分と、さらっと描いて終わらせる部分と作ります。
そうすると、しっかりと描写したところが引き立って見えます。
気をつけなくてはいけない事はさらっと描いて描きかけに見えてしまってはいけません。
うまく引き算ができれば、引き算したことがパッ見わからないように描くことができます。
グリザイユで描く
今回は、いろいろな表現がある中で「グリザイユ」の技法を使って描きたいと思います。
グリザイユとは
リザイユとは、もともと油絵の技法で、絵の具の白と黒だけを使って、モノトーンで描いておいて、その上から透明色のカラーを薄く解いて塗り重ね、色をつけていくと言う技法です。
グリザイユで描く理由
今回、グリザイユで描くのは、リザイアの技法の紹介でもありますが、
明暗をモノトーンで描き、カラーと別にすることで、両方を同時に考えて描くよりわかりやすくなり、伝わりやすくなるかと思ったからです。
下書きを写す
では、実際に描き始めます。
まずは下書きを写すことからです。
今回はセリアのF3キャンバスで描きます。
下書きを直接描かないのは
今回はキャンバスに描いていきますが、下書きは紙に描きました。
キャンバスに直接描いてもいいのですが、キャンバスに直接描くと消しにくかったり、何度も描き直すとキャンバスをたわませてしまうかもしれないからです。
下書きを写す方法
トレーシングペーパーを使ったり、カーボン紙を使って写してもいいですが、私は柔らかい鉛筆で裏を塗って表の下書きをなぞってキャンバスに転写します。
私は8Bの鉛筆を使っています。
他にコンテやパステルでもできます。
紙に下書きをしておくと、キャンバスに転写する前に構図の調整ができて便利です。
構図が決まったらマスキングテープで紙とキャンバスを一辺のみ固定します。
転写した後にマスキングテープを外す前に、転写し忘れているところがないか、薄くて見えないところが無いか確認します。
マスキングテープで止めてあると描き出さなくてはいけないところがあっても、場所がズレてしまうことなく描けるからです。
モノクロで描く
では、絵の具の黒と白だけを使って描いていきます。
3色塗り
いきなり細かく描いていくことはしません。
まずは影のグレーと明るいところのグレー、その中間のグレーの3色を用意します。
明暗をざっくり大きく3色に分けて塗ります。
形で塗り分けるのではありません。明暗を3つのグループに分けてグループことで塗ります。
明暗のグループがわかりづらいときは、目を細めて、ボヤけて見えるようにするとわかりやすくなります。
光の向き、面を意識する
少しづつトーンを増やして描き進めていくのですが、まず面をとっていきます。
明暗が付いてくると間違いがわかりやすくなります。
間違ったところがあっても上からどんどん描き直せるので早い段階で間違いに気づいて直すと後々やりやすいです。
細かく描き進めてから直すのは大変だからです。
面の色を塗る時にどちらから光の向きによって、グレーの濃さがわかります。
徐々に細かな描写にしていく
面で描いていった上から形を具体的にとって、徐々に細かな描写にしていきます。
モノトーンが完成しました。
色をつける
今、100均の絵の具、道具だけで描くチャレンジをしています。
色は白、黒に赤、青、黄色を足した5色のみで描きます。
では、色をつけていきます。
色の変化には注意しましょう。
そのままの色を作らなくてはと思わなくても、透明色の重なりで色味を足していってOKです。
例えば、黄色味の肌色に赤を重ねて赤みの差した肌色にするという感じです。
肌色の作り方
肌色は、[赤と黄色でオレンジ色を作り、それに白を混ぜる]とこでできます。
しかし、グリザイユは下にモノトーンで描いてあるので白は使いません。
オレンジ色を薄く溶いて塗れば、下の白色が透けて見えて肌色になります。
肌の色は、くすみがあったり、影があったり、するので黒も混ぜます。
場所によっては緑がかっていたり、紫がかっいたりと複雑な様相です。
なので肌は「肌色」と思わず、よく観察して色を感じるのがポイントです。
髪色の作り方
この写真の髪の毛は茶色なので茶色を作ります。
茶色は[赤、黄色で作ったオレンジ色に黒を混ぜる]とできます。
髪も一色ではなく、赤みの強いところ、黄色の強いところ、黒いところ、青みがかったところ、光の色によっては青白かったりするのでよく観察して作りましょう。
薄く溶いた透明色を塗る
モノトーンで描写が終わったら、上から透明色のカラーを薄めて塗ります。(グレーズと言います)
今回は100均の絵の具5色のみなので、透明色、半透明色、関係なくグレーズしました。
最初は大きな面積で塗ります。
なるべく筆跡が残らないように塗ります。
明るいところを白で描き起こす
塗ったら白色で明るい部分を描き起こします。
先に塗った肌色が乾く前に白の絵の具を画面上で混ぜて馴染ませるように塗ります。
何層にも重ねながら調子を整えていく
面積を狭くしながら何度も重ねて塗っては描き起こすことを繰り返します。
完成です!
100均の筆でサイズも2号なので、まつ毛は上手く描けませんでした汗
まとめ
○顔のバランスをとる方法を使う。
○面をとりながら描く。
○バランスを確認しながら描く。
○大きなグループで明暗を捉える。
○面と光の向きを意識する。
○色は固定観念を捨ててよく観察する。
いかがでしたか?
前回の下書きのポイントと、今回のポイントを使えば、顔が上手く描けるようになります。
自分の制作はもちろん、家族や友達の顔を描いてプレゼントして喜ばれますよ。
あなたの活動の幅も増えるかも知れません。
ぜひこのポイントを頭に入れて描いてくださいね。
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