色が上手く使えない 絵描きが覚える色のこと②  色彩心理

前回は「色の三属性」を中心に色の基本中の基本をお話ししました。

まだ、あなたの色についての悩みは解決していないと思います。

今回からは、絵を描く実践に直接関係する話になっていき、

どんどん具体的に悩みを解決する話になっていくので楽しみにしてください。

今回は「色彩心理」についてお話ししていきます。

色彩心理

色には誰でも共通して感じるイメージがあります。

もし、自分のイメージが伝わらない絵になってしまうと悩んでいるのならば、

このイメージを上手く扱うことで、伝えたいと思っているいイメージを見る人に伝えられるようになります。

もちろん、絵を構成しているのは、色、形、構図、描画、素材と、色々な要素があるので、

色だけでイメージを作るわけではないですが、色以外の要素が的確にイメージを作っていても、

色はイメージを作る上でかなりのウエイトがあるので、色が上手くいかないだけでイメージが変わってきてしまうということが起こります。

逆に、色で上手くイメージができたら、他の要素でイメージが大きく崩れることはないでしょう。

イメージ以外にも、遠近感や、立体感を出すのにも必要な要素になるので、絶対押さえておきたいですね。

暖色 寒色

暖色、寒色はよく聞く言葉ですね。

暖色や、寒色は人間が実際にものに触れて感じた経験からイメージしています。

暖色ならば、火の色ですし、寒色は海や氷の色なのでわかりやすいですね。

色相環ではこうなります 

色相環 寒色 暖色 中性色

ご覧のように、緑と紫は「中性色」と言って、温度の感じない色です。

分け方によっては中性色系はなく、緑、紫を寒色系に入れることもあります。

彩度が低いものだと、寒暖のイメージが弱まります。

上2作は、どちらもピカソの作品ですが、色味によって空気の温度が全く違って見えます。

膨張色 収縮色

膨張色とは実際の大きさよりも大きく見える色です。

反対に収縮色は実際の大きさよりも小さい見える色です。

膨張色=高明度

収縮色=低明度

ファッションの話しでは良く使われる言葉ですね。

絵が大きく見えたり小さくみえたりするのは、構図にも影響されるので、色の効果ばかりでは無いですが、

基本的に膨張色の絵は大きく見え、収縮色の絵は小さく見えます。

額の色も影響を受けるので、絵をどう見せたいかによっても、額の色を変えるといいでしょう。

額による見え方の違い

『軽い色 重い色』

軽い色=高明度(親しみ、優しい、というイメージも受ける)

重い色=低明度(重厚感、高級感、というイメージも受ける)

軽い色=高明度

重い色=低明度

お気づきでしょうか?

どちらも明度が高いか、低いかです。

膨張色=軽い色

収縮色=重い色

と言えます。

モランディの静物画

質感の無くなった静物だけど、白い色は軽く、黒い色は重く見える

軟らかい色 硬い色

「膨張色 収縮色」「軟らかい色 硬い色」に「寒色 暖色」の条件をつけたら「軟らかい色 硬い色」になります。

軟らかい色=暖色系で明度が高い

硬い色=寒色系で明度が低い

『進出色 後退色』

「進出色」「後退色」は私的に絶対覚えて、実際に絵に活用してもらいたいものです。

今回の他の話は、感覚的に分かっていて、知らずにでも使いこなしているものですが、

感覚的にできちゃってるということはあまりないのに、

立体感、遠近感を出すのにかなりのポイントになるからです。

覚え方はとても簡単

進出色=暖色

後退色=寒色

です。

立体感や遠近感を出すには、進出色と後退色に彩度や、明度を組み合わせて使います。

立体感というのは、ものの中での近いところと遠いところということなので、

小さな遠近感と言ってもいいでしょう。空間の奥行きも同じです。

近くに見えるようにする要素ー進出色高彩度強いコントラスト分厚いマチエール

遠くに見えるようにする要素ー後退色低彩度弱いコントラスト薄いマチエール

 画面奥は「低彩度」で、「弱いコントラスト」「薄いマチエール」で、少し青みがかった影
手前のりんごは「高彩度」「強いコントラスト」で白い絵の具を厚く塗ってあり

手前の方に出てくるりんごと壁の奥行きがよく表現されています。

風景画の場合、空気の層のため奥に行くほど、白っぽく霞んでいきます。

それ以外は同じです。

遠くに行くほど「青みがかり」「弱いコントラスト」「薄いマチエール(これは写真なのでマチエールはありませんが)」

近くに来るほど「暖色系に近寄り」「強いコントラスト」「厚いマチエール(これは写真なので、、、以下同文)」

『興奮する色 沈静する色』

興奮する色=暖色系、高彩度

興奮する色とは、言い換えれば、「意欲」「情熱」「生命力」「元気」「高揚」「熱気」「賑やか」「派手」のようなイメージです。 

左右対称の安定した構図だが、鮮やかな暖色系の配色、

コントラストも強めで躍動的なエネルギーを感じる

(後にお話しする補色対比の効果もでている)

沈静する色=寒色系、低彩度

沈静する色とは、言い換えれば、「静か」「落ち着いた」「冷静」「爽やか」「安定」「地味」のようなイメージです。

彩度の低い寒色系の夜空で、微かな呼吸音まで聞こえてきそうな、しんと静まりかえった幻想的な空間を感じる。

『地味な色 派手な色』 

派手=高彩度

地味=低彩度

『対比と同化』

複数の色を使ったときに、目の錯覚で色が違って見える現象のことです。

デザインをする時には必須の知識ですが、絵を描くときは、無意識に感覚で補正しながら描くので、

ややこしくならないよう、明度対比と補色対比だけピックアップしてお話しします。

『明度対比』

周囲の色が濃いほど明るく見え、

周囲の色が明るいほど暗く見える現象です。

背景の色を変えたダビデ像

ダビデ像の背景を明るくすると、像は暗く見え、

背景を暗くすると、像は明るく見える。

『補色対比』

補色同士を配色すると、どちらの色もより鮮やかに見える現象です。

色の境目がギラギラして見えるのは「ハレーション」という現象です。 

補色の青と黄色を対比させている

補色の金(黄)と青、緑と赤が使われている

ハレーションを起こしそうな強い赤と緑の対比だけど、間にオレンジを挟むことで回避している

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です