こんにちは♪
アクリル画家、絵画講師の初香です。
今回はテクスチャーアートについてお話ししていきます。
テクスチャーアートはこんもりと盛り上がった 凹凸の模様 を作り、その調子だけで見せる抽象的な表現のものです。
使うものはモデリングペーストと言ってアクリル樹脂を元に作られている、白く絵の具よりも厚く盛り上げができるものです。
漆喰を塗るような厚く乗せるイメージで塗っていくと、ナイフや筆の跡がついた凹凸の強い調子が作れます。
形や模様を特に考えなくても乗せるだけで、それなりにかっこよくできちゃうので、 誰でも簡単にできるアートです 。
用意するものも少ないので、最近は画家でない一般の方も気軽に始めて、人気急上昇中のアートです。
早速始めていきましょう。
目次
テクスチャーアートとは
テクスチャーアートとはどんなものなかお話しします。
元は絵画のマチエール
元々は絵画の凸凹したマチエールから派生しています。
印象派の時代にチューブに入った市販の油絵絵の具が市販させるようになって、こんもり 盛り上げるような表現(インパスト) もできるような絵の具になりました。
ゴッホやルノーが有名ですね。
アクリル絵の具が開発されて画家が使っようになりましたが、 アクリル絵の具は油絵とは違い、乾くと体積が減ってしまいます。
厚く塗っても凹んでしまったりして、うまくいきません。
そこで、厚塗り専用の下地剤のモデリングペーストを使います。
下地剤なので、パネルなどの支持体にあらかじめモデリングペーストでマチエール(絵画で言うテクスチャー)を作っておいて、その上から絵の具で描きます。
そのように使われていたモデリングペーストによるマチエールでしたが、近年になってそのモデリングペーストの凹凸だけを絵にした「テクスチャーアート」出来ました。
テクスチャーアートの仕組み
モデリングペーストは盛り上げ専用の下地剤です。
私が学生時代に使っていたのは重い泥パックのような感じで、画面全体に塗ると結構な重みを感じるものでしたが、最近は軽量化されたものが主流になっています。
駄菓子のモロッコフルーツヨーグルのような空気を含んだような軽い質感です。
昔使ったモデリングペーストとは使い心地が少し違いました。
使うもの
○キャンバスやパネルなど
○モデリングペースト
○ペインティングナイフなど、塗る道具
今回はU-35のライトモデリングペーストを使います。
ペインティングナイフなどの塗る道具は何でも工夫して使えます。
ペインティングナイフはプラスチックのものもありますが、断然金属の物が使いやすいです。
今回私は事情があってプラスチックを使っていますが、金属をオススメします。
ペインティングナイフ以外にもホークやスプーンでも面白いものができるかもしれません。
バターナイフも使いやすそうです。
テクスチャーアートのやり方
テクスチャーアートはキャンバスやパネルにモデリングペーストが付けば出来てしまうので、どんなやり方でも、オリジナルのやり方を作っても大丈夫です。
ただ、 モデリングペーストがしっかり画面に食い付かなければ簡単に取れてしまう脆いものになってしまう ので、そこだけは注意してください。
いくつかのやり方を紹介します。
ランダムに載せる
ペインティングナイフなど、道具を使って適当にランダムにモデリングペーストを乗せていきます。
乗せるイメージはクリームチーズを塗るときのイメージです。
ポイントは平らに塗り伸ばさない、それだけです。
凹凸で表現するアートなので、凹凸が無くならないようにしましょう。
厚みは6ミリまでにしましょう。
硬化不良になることがあります。
完成です。
好みの形にする
少しバージョンアップしましょう。
モデリングペーストを自分の好みのテクスチャーになるように意識してモデリングペーストを乗せます。
モデリングペーストは気候にもよりますが、 30分くらいは自由に動かせます。
好みのテクスチャーになるまでどれだけでも形を変えることができます。
沢山触ってると平らになりがちなので、平らになってきたら一度ペインティングナイフで削ぎ落としてまた乗せても大丈夫です。
色をつける
モデリングペーストはアクリル絵の具を混ぜて色を付けることも出来ます。
絵の具の量が多いほど粘度が柔らかくなるので、凹凸は弱くなります。
筆を使う
もちろん筆で乗せることもできます。
筆を使う場合は豚毛が適しています。
柔らかい毛の筆だとモデリングペーストの硬さに負けてしまうからです。
画面にベッタリ擦り込むように塗らず、筆では直接画面には触らず、 モデリングペーストの表面を動かすイメージで筆を動かします。
筆を使った後はすぐに水に浸けるか洗ってください。
モデリングペーストも乾燥が比較的早く、乾燥すると固まって落ちなくなってしまいます。
飾りをつける
筆で塗った上から金箔と金色の粒を乗せて飾りました。
モデリングペーストが乾く前におけば付いて固まります。
この方法は気をつけていても多少モデリングペーストのテクスチャーを潰したり、ヨレたりします。
それが嫌な場合は丸一日ほど乾燥させてから、上から マットメディウムを飾りをつけたいところに塗って、その上に付ければ、テクスチャーを崩さず付けることができます。
色々な道具を使う
最近はテクスチャーアート用に色々なテクスチャーが作れるコテなどが売っています。
私は100均で荒いコームを買ってきて使ってみました。
モデリングペーストが薄いところは上手く形が出なかったので、元に戻して厚みを足してやり直ししました。
何度か戻しては柄を付けてを繰り返して良い形になるまでやり直しました。
自分でどんなテクスチャーができるか想像しながら色んな道具を探してみるのも面白いですね。
具体的な形にする
テクスチャーアートと言えば、抽象画のイメージですが、具体的な形を作ることもできます。
作りたい形によってペインティングナイフの形を使い分けます。
手持ちのペインティングナイフで何とかやってみました。
花は外側の方ほど厚く塗り、元の方は薄く塗ると立体感がでます。
ナイフにモデリングペーストをとるときに、なるべく綺麗な形に整えて取ります。
モデリングペーストを潰す感じで画面にナイフを押し付けスッと引っ張ると真ん中に筋ができて葉っぱっぽくなります。
絵画表現のマチエールに使う場合
モデリングペーストを絵画表現のマチエールとして使う場合、これも画家それぞれが工夫して表現するところなので、決まった方法は無いのですが、例を紹介します。
有名画家を紹介
智内兄助 日本の存命の画家で、マチエールの特徴的な画家です。
緻密で繊細な人物の肌と、他の部分の強いマチエールの対比が印象的です。
マチエールとして描いてみる
アンティークな雰囲気でバラを描きたいと思います。
まずは 下地にモデリングペーストでマチエールを作っていきます。
描き進めたときにどのくらいのマチエールがいいのかイメージしながらのせます。
F0で小さい画面なので、マチエールも細かい調子になるようにつけました。
丸一日乾かしてから上からローアンバーを凹み部分にもしっかり絵の具が入るように塗りました。
ローアンバーが乾いたら、白に黒とローアンバーを少し混ぜたグレーで全面塗ります。
次は凹み部分に絵の具が入らないところがありますが、あえて残します。
水でゆるめた絵の具でバラを描いていきます。
バラが描けたら、しっかりと乾かし、 紙やすりで表面を削ります。
今回は手元にすごく荒いか細かいかの紙やすりしかなかったので800のものを使いましたが、もっと荒い方がやりやすいです。
紙やすりでやすると、モデリングペーストの凸部分が少し削れて下に塗ったローアンバーが出てきます。
バラを描いたところは下のグレーが出てきます。
削り粉は吸わないようにマスクをして行い、粉塵はきれいに掃除しましょう。
バラの影を描き、バラが削れたままだと弱くなるので、主役の花の部分に描写をたして細かな調整をしました。
影も描きます。
背景に部分的に白を塗り、画面に変化も少しつけました。
完成です。
まとめ
いかがでしたか?
最低キャンバスなどの支持体とモデリングペーストさえあればテクスチャーアートはできてしまいます。
画力も必要なくペタペタ乗せるだけでおしゃれなインテリアができあがります。
是非試してみてくださいね♪
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