・色を混ぜても思うような色にならない
・色が濁ってしまう。
これは誰でも必ず通る道だと言っても過言ではありません。
絵の講師をしていると、生徒さん十人十色で、それぞれ独特な色の感覚を持っていて、面白いのですが、
みんなそれぞれ原因は違っても、必ず色で行き詰まるのです。
色を混ぜすぎていたり、色を混ぜなさすぎたり、画面の上で失敗しちゃったり。
色の扱いに癖が付いてしまっている人は、頭で理解しても、直すにはある程度時間かかることが多いです。
学生時代、私も例にも漏れず、色の問題を抱えていました。
その頃からは随分改善されてはいると思いますが、まだまだ色を扱うのは難しい。
色については、知識はとても大切です。
そして、そしてそれを自分の技術として扱うには、感覚的に染み込ませるように、経験値をどんどん上げていくしかないものだと思います。
今回は「混色」についての知識とをお話しして、
名画で実際の扱いを見ていきましょう。
混色の種類
混色は、パレットの上でするものだけでなく、「加法混色」「減法混色」「中間混色」と3種類に分られます。
パレットの上でする混色は「減法混色」の内の一つです。
加法混色
まずは光の混色の「加法混色」です。
光の三原色は「赤」「青」「緑」です。
「赤」の光と、「青」の光と、「緑」の光を混ぜると「白」になります。
光を混ぜるということは、単色の光よりも光の数が増えるので、混ぜるほど明るくなっていきます。
減法混色
減法混色は光ではなく、絵の具など物質の色の混色です。
リンゴの色が赤く見えるのは、光の中に含まれる7色のうち、赤以外の色が、リンゴの表面に吸収されて、
人の目には、表面に吸収されずに反射した赤のみが入ってくるからです。
色の三原色は「マゼンダ」「シアン」「イエロー」です。
「マゼンダ」は中波長、「シアン」は長波長、「イエロー」は短波長の光を吸収します。
光を吸収するということはその分暗くなるということです。
なので混色するほど色は暗くなり、三原色全て混ぜると黒になります。
中間混色
「中間混色」は光ではなくものの色の混色ですが、「減法混色」ほど色が暗くなりません。
色と色を物理的に混ぜるのではなく、視覚的に混色してみせるので、混色前の色の鮮やかさが損なわれないのです。
『併置混色』
織物
糸一本一本の色は変わりませんが、折り重なることで、視覚的に混色して見えて、新しい色ができているように見える
印刷物
印刷物のインクは「シアン」「マゼンダ」「イエロー」に「黒」が使われていますが、「黒」は無くても3色で黒を出すのは可能です。
色の点が細かく並ぶことで資格的にフルカラーに見える
スーラの点描画
点描で色を置くことで、混色による濁りを最小限に抑えて明るい光を表現している
『回転混色』
複数の色が、残像によって混色して見える。
色同士を物理的に混ぜていないので、鮮やかに見える。
絵の具の混色
絵の具の混色は「減法混色」です。
色を混ざるほど、暗くなっていきます。(白以外)
絵の具の混色を「パレットの上」「乾いていない画面の上」「乾いた画面の上」と分けてお話しします。
『パレットで絵の具を混色する』
前の記事でもお伝えしたように、
一般的に絵の具には「シアン」「マゼンダ」「イエロー」は無く、理論通りにはいきません。
しかし、絵の具の色を色相環のどの位置辺りになるのか当てはめることで、だいたい理論に沿って使っていくことができます。
絵の具のセットの中には色相環に当てはめられないものもあります。
茶色などです。
その場合はトーンに当てはめると、茶色は、オレンジ色の彩度と明度を下げたものだと解ります。
なので色相環ではオレンジの位置だと考えることができます。
絵の具は混ぜる色が増えるほど、鮮やかさを失い、濁っていきます。
なので、自分の欲しい色を最小限の色数で作ることができるのが望ましいです。
私の持っている水彩絵の具を、2色混ぜた表を作りました。
2色だけの混色でかなりの色が作れます。
見てわかるように、類似色の混色はあまり濁らず、補色に近い色同士を混ざると暗くなり、濁るようになります。
色を作るときは、自分の作りたい色に1番近い色を選び、その色から、どの色に寄せていけばいいのかを考えて色を足します。
混色では三原色の他、作れない色があります。
鮮やかな紫とピンクです。
「青み寄りの赤」と「赤み寄りの青」を混ぜれば「紫」はできますが、鮮やかさは落ちてしまいます。
「赤」に「白」を混ぜれば「ピンク」はできますが、白くくすんだ色になります。
なので鮮やかな紫やピンクが欲しければ、チューブで買いましょう。
チューブの紫
混色して作った紫
チューブのピンク
混色して作ったピンク
混色して作ったピンク
『乾いていない画面で』
画面の上で、先に塗った絵の具が乾く前に、次の絵の具を塗り重ねて画面の上で混ぜます。
よく混ざったところと、あまり混ざっていないところで、複雑な色のニュアンスがでます。
混ざる色数が増えやすいので、濁るのに気をつけてください。
油絵の場合、絵の具の乾燥に何日もかかるので、ある程度絵の具が乗ったところで乾燥させてから描き進めないと、混ざる色数が増えて濁ります。
『乾いた画面で重ねて』
透明な絵の具を、先に塗った絵の具がしっかりと乾いてから塗り重ねます。
カラーフィルムを重ねるように塗るので、絵の具同士を混ざって塗るよりも、濁りづらいです。
『まとめ』
絵の具は混色するほど、彩度が落ち、濁りが生じてきます。
最小限の色数で自分の思い通りの色がつくれるように、色の理論を頭に置きながら、経験を積んでいきましょう。
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