こんにちは♪
アクリル画家、絵画講師の初香です。
今回は、アクリル絵の具を使って油絵技法で描く方法をお話ししていきます。
アクリル絵の具は水彩画の技法も油絵の技法も使うことができます。油絵を描いてみたいなと思うけど、油絵はハードルが高いと思いませんか?
油絵は水で溶かず、油で溶きます。
そのため筆や道具を洗うのが大変で、匂いもかなり強いものです。
筆も色によって変えなくてはいけないので沢山必要ですし、油絵は絵の具も道具も決して安くないものなので、一式揃えようと思ったら結構なお値段になってしまいます。
アクリル絵の具ならば、油絵のように描くことができて、水で溶いて使うものなので、匂いも少なく、メンテナンスも簡単にできます。
お値段も一式揃えても油絵の半分以下で買うことができます。
油絵と同じ技法が使え、油絵よりもずっと早く乾くので、スピーディーにたくさんの作品を生み出すことができます。
同じように表現できて、メンテナンス簡単、匂い少なく、気軽に始めることができるって、とても魅力的ではないですか?
油絵を始めることに尻込みしている方は是非、アクリル画を始めてみてください。
早速、アクリル絵の具でできる油絵の技法のお話をしていきましょう。
目次
油絵の基本的な描き方
アクリル絵の具の書き方の前に、油絵の基本的な描き方からお話ししていきましょう。
重ね塗り
油絵は基本的に何層にも絵の具を重ねて描いていきます。
白いキャンバスにいきなり細かく描き始める事は白色の効果を狙うもの以外はありません。
下地に色を塗っておき、大きな面から塗り始め、徐々に描く面積を狭めます。
層が上に重なっていくことに、具体的な形が描き起こされていくように描きます。
硬い絵の具、薄めた絵の具を使い分ける
油絵の具はチューブから出したままだとかなり硬めの絵の具です。
硬い絵の具を筆で塗ると、筆跡が立体的に残るほどの硬さがあり、こんもりと盛り上がった厚みを残した塗り方もできます。
油絵は、描き始めは溶き油で緩めて水っぽくしたもので塗り始めます。
そこから、固めの絵の具で厚めに塗ったり、少し緩めて筆跡を残さないように塗ったり、溶き油で溶いた水っぽい絵の具をおつゆがけしたり、濃度の違う絵の具を駆使して描いていきます。
乾燥の前、後を使い分ける
油絵の具は乾燥時間が遅く、1日から1週間ほどかかります。
絵の具が、乾く前に上から色を重ねると、先に塗った色と画面上で混ざり合います。
それを利用して、グラデーションを作ったり、色の境をぼかしたり、完全に混ざりきらない色の調子を作ったりすることができます。
逆に、無計画に色を重ねていくと、絵の具は色が混ざれば混ざるほど濁っていくので、 どんどん濁って汚い色になっていってしまいます。
なので、1層絵の具を塗ったらそれが乾くまで待ち、乾いてしまってから、上から塗り重ねて行きます。
それをすることで層がどんどん積み重なっていき、重厚感が出たり、色の重なりで複雑な調子を見せたりします。
重ね塗り
このように、重ね塗りは、油絵の基本になります。
重ね塗りについては、水彩技法の重ね塗りと合わせて別の記事でも詳しく書いていますので、併せてご覧ください。
アクリル絵の具の特徴を活かした塗り方:「重ね塗りの技法」を徹底解説
ここからは上で描いた油絵の描き方をアクリル絵の具でやっていきます。
有色下地
有色下地とは画面の上にあらかじめ色を塗っておいてから描き始める技法です。
絵の具はアクリル絵の具も油絵も水彩でも同じですが、 顔料(色の粉)と展色剤(接着剤) が練り合わされてできています。
顔料は細かな色の粒なので、その粒と粒の間を通った光が、下に塗った色に反射して出てくるので、完全に覆い隠したように塗ったとしても全く下の色の影響がなくなるわけではありません。
有色下地で色々な効果を出すことができます。
人物画を描くのに下地に緑色を塗りました。
緑の有色下地は、補色の赤い色を引き立ててくれるので、赤いモチーフや人物画の有色下地に向いています。
画面全体に同じ色を塗っておくことで、上から色を塗っていっても調和のとれた絵になりやすくもなります。褐色系の有色下地は下手に色を主張させずにナチュラルな雰囲気になります。
明暗を描いて置くことで、上から描くときの目安になり、立体感が出しやすくなります。
光の当たった所は暖色系の色で塗り、影や暗い所は寒色系で塗っておくと、光と影の描きわけがしやすくなります。
下地と上から塗る色のコントラストが強いと力強いダイナミックな表現ができます。
グリザイユ
グリザイユとは、あらかじめ モノトーンで明暗を描いておき、上から透明色を薄く溶いて重ねて色味を付けていく技法です。
カマイユ
カマイユはグリザイユの一種で、モノトーンを褐色系の色で描くものです。
スカンブル
グリザイユに色をつける時に、透明色を薄く溶いて重ねることをグレーズといいますが、 スカンブルは透明色ではなく、不透明色をといて重ねる技法です。
グレーズは下に塗った色を覆い隠すことなく重ねられますが、スカンブルは半透明の絵の具なので、下の色を少し覆い隠しながら少し透かせて重ねることができます
ドライブラシ
ドライブラシは 水を使わずに乾いた筆で絵の具をとり、画面の表面をかすらせるように塗ります。
画面の凸の部分にだけ絵の具がつくのでガサガサとした乾いた質感になります。
スグラフィート(スクラッチ)
スグラフィートは絵の具が乾く前にペインティングナイフなどで引っ掻いて下の色を見せる技法です。
スフマート
スフマートは輪郭をぼかす技法です。
モナ・リザにも使ってある技法です。
特別にやり方は決まってあるものではありません。絵の具を指で撫でてぼかしたり、グレーズを何度もかけてぼかす方法があります。
重ね塗りに限定しない描き方
ここまでは重ね塗りの技法についてお話ししてきました。
油絵の技法には重ね塗りでないと出来ない技法だけではありません。
基本的に重ね塗りで使うことが多いのですが、重ね塗り技法とは言えないものをお話していきむす。
グラデーション
先に赤い色を塗っておきます。
黄色を下に塗り 境目で筆を左右に何度も動かして色が混ざって馴染むまで繰り返します。
一ヶ所で左右に動かすだけでなく赤の方、黄色の方になばをもって塗ると幅広くグラデーションができます。
絵の具が乾かないように手早くします。
色が馴染んでグラデーションになったら、黄色をグラデーションより下に置き直し、その下に3色目を塗ります。
同じように筆を左右に動かして境目を馴染ませます。
しっかりと乾かしてから上からもう一度同じことを繰り返すとムラが少なくなり綺麗になります。
ぼかし
置いた絵の具の縁を指で撫でたり、叩いたりしてぼかします。
こまめに指に着いた絵の具を拭ってやると綺麗にできやすいです。
ブレンディング
ブレンディングは画面の上で色を混ぜる技法です。
雲をブレンディングで描きました。
先に暗い色を塗っておき、 絵の具が乾いてしまわないうちに、明るい方の色を置き画面上で混ぜます。
きっちり全てを混ぜてしまいません。
暗い所と明るい所の違いを作ります。
グラデーションのような均一な色の変化ではないですが、パキッと色が別れずに自然に馴染むタッチになります。
色が混ざり切ってなくマーブル模様のような色の変化が出来るのが、画面上で混色するポイントです。
マスキング
マスキングは、マスキングテープやマスキングフィルム、マスキングインクなどがあります。
マスキングを使うときは薄塗りだとやりやすいですが、盛り上げるような塗り方には向きません。
特にマスキングインクの場合は厚塗りの絵の具の中に取り込まれてしまう可能性があります。
今回は超簡単にマスキングテープを真っ直ぐ貼りました。
マスキングテープを画面との間に隙間が無いようにしっかりと密着させて、上から塗ります。他を汚さないように気をつけてテープを剥がします。
インパスト
インパストとは、盛り上げるように筆で塗る技法です。
ギラリと光る部分や、手前の方に出てくるところなどに使うと効果的です。
ドロッピング スタンピング
ドリッピングは緩めに溶いた絵の具を垂らす技法です。
スタンピングはスタンプのように何かに絵の具を付けて押して描く技法です。
一枚の絵に全ての技法を使いたかったので、無理やり詰め込んだ感があります汗。
コラージュ
コラージュはジェルメディウムを糊代わりに使います。
ジェルメディウムを貼りたいものに塗って画面に貼り付けます。
新聞紙と布の端切れを貼ってみました。
描き足して完成。
重ね塗りのところでお話ししたドライブラシを木と海に使いました。
掠れた感じが、木の細かな葉っぱや、海に光が反射してキラキラした表現になりました。
まとめ
いかがでしたか?
アクリル絵の具で充分油絵の様に描けますね。 それも気軽にスピーディーにです。
色々な技法があるので、色々やってみるのも楽しいですよ。
その中で自分の描きたい表現が見つかるかもしれませんね。
あなたに合った描き方も見つかるといいですね。
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