色をつけると下手に見えてしまう。リアルに見える色の付け方

風景画を描いても、子どもの絵の様な色になってしまう。

花を描けば造花、りんごを描けばプラスチックのりんごになってしまう。。。

色を塗る前はリアルに描けているのに、色を付けた途端嘘っぽくなってしまう。

そんな悩みは無いですか?

絵を描く人には結構多く見られることです。

これは、概念をとっぱらい知識をつけることで、割と早く解決できます!

概念をとっぱらい知識をつけるってなんだか矛盾してそうな感じに聞こえますね。

どういうことかと言うと、人は意外と色を概念的に見ていて、本来の色が見えていないのです。

例えば、赤いりんごの色を見たとき、実際はただ「赤」というだけでなく黄色の部分も有れば、茶色の部分もある、紫もある、と色んな色を含んでいます。

光や周りの環境によっては全く「赤」でなくなることもあります。

しかし目、脳は無意識に修正をかけて「これは赤」と概念で見てしまうのです。

青みの強い画面だが、人物の肌の色味がわかる

しかし、肌から色をピックアップするととても肌の色とは思えない色が出てくる。

周りの青色との対比でわずかな赤みを含んだグレー調の色が肌の色に見えてくる。

周りの暗さとの対比で、実際の色味より明るく感じる。

このように実際は思い込みと全く違う色であるかもしれません。

(無意識で画像を作りましたが、、、上の写真のグレーの矢印、白の上にあるときは無彩色のグレーに見えますが、写真の上にいくと写真の青みとの対比で、赤みがかって見えます。少し明るくも見えませんか?こういうことです笑)

このように「赤いものだから赤だよ」という概念をとっぱらい、すぐに騙されてしまう目と脳を頼らず、知識で目と脳を補うことです。

本来の色を見る

それでは早速、概念に騙されない色の見方をやっていきます。 

緑色は特に扱いが難しいものです。

上の葉っぱの写真はかなり緑色が鮮やかで美しい写真です。

多くの人が「緑色(黄緑)」と思う概念的な緑色に近いんじゃないかと思います。

そこで鮮やかな緑色だからと、チューブから出したままの絵の具で塗ったら、一気に嘘っぽくなります。

チューブから出したままの緑色は自然界では純粋すぎる色だからです。

では写真から色を抽出してみます。 

個々の色を見てみると、思っていた色よりも少しくすんで無いですか?

絵の具で色を作ってみます。 

緑や黄緑の絵の具の他に、茶色系の絵の具がずいぶんと混ぜられて、似た色が出来ました。

この写真はデジタルのスポイトツールを使って色を抽出しましたが、写真でなくても、同じように色を抽出することができます。

このような道具を使います。

厚紙の半分を黒く塗って、白の方にも黒の方にも、小さな穴を開けました。

この穴から、見たいところの色を見るのです。 

こうやって白い枠の中を見ると、周りの色に影響されたり、「みかん」という概念にごまかされたりすることなく、純粋に色を見ることができます。

黒い枠もある理由は、色の対比で、白い枠の中の色は少し暗く見えます、逆に黒の枠の中の色は明るく見えます、そのため両方から見て確認するためです。

このモチーフに対して作った穴が大きかったので、穴をもう少し小さくしたらもっと部分的な色を見やすかったと思います。

あと、厚紙ももう少し大きくすると周りがもっと隠れるので周りの影響もされにくいと思います。 

影の部分はもっと細かいので、小さい穴を開けなおしてみました。 

「影はグレー」という概念を持っていたら見ることのできない色が出てきました。

モーブがかった茶色に見えます。

作った色をチップにして実際の色と比べてみるのも練習になります。

(あくまで、実際の色を見る為の方法です。このように忠実な色味を絶対に使わないといけない訳ではありません。絵は状況をアレンジもすることがありますし、透明水彩の場合、透明な色を何層にも重ねて実際の色に近づける方法もあります。

白、黒を混ぜても、明暗は表現できない

色に白を混ぜれば明るくなる、黒を混ぜたら暗くなる。

それはその通りですが、それを物の日の当たって明るい所や、影の暗いところにそのまま使うと嘘っぽくなります。

これは初心者さんがよくやりがちなので気をつけてください。

緑色に白と黒を混ぜて、日の当たった明るい所、影の暗いところを表現した。

ジオラマの木の様に見える

明るいところは黄色を混ぜて、影のところは青色を混ぜて表現した。

周りの影響にもよりますが、基本的に明るい所は黄色(暖色)がかって見えて、暗いところは青色(寒色)がかって見えます。

これだけでもずいぶん自然に見えるよになります。

自然の法則に合っていなければリアルに見えない

いくらリアルに描いたリンゴでも、周りの環境に合っていなければリアルに見えない。

リアルに表現するには周りの色味、明るさ、光源の色や強さによってできる、明暗や、彩度を理解して描く必要があります。

上のりんごには、二方向からの光源に照らされています、それは角度、長さの違う二つの影が重なっていることからわかります。

光源の方を向いた面は明るく色が飛びます。

光源の逆側は光源の光が届かず、暗くなりますが、反射光で照らされるので光源から1番遠いところが1番暗いとは限りません。

明るい部分と影の部分の境目を明暗境界線と言いますが、そのすぐ後ろあたりが1番暗くなります

反射光が無い場合は光源から1番離れたところが1番暗くなる

明暗境界線の手前は影の暗さも無く、光で色が飛ぶことも無いので、1番色が鮮やかで固有色のよくわかる部分です。

横に置いたりんごからの反射光で、みかんの側面が赤みがかる。

右側の影はみかんのオレンジ色と、自然光の青みの色でモーブがかった色になっている。

名画で見る

まとめ

目や脳は概念や周りの状況にすぐに騙されてしまうものであるということを頭に留めて、実際の色を見るようにしていると、次第に微妙な色の違いも見分けられるようになってきます。

周りの状況によって固有色の見え方や、影のつき方、色相やトーンが変わることを覚えて観察しましょう。

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