前回は、『画家のマネージメント能力』についてお話ししました。
今回は前回お話ししきれなかった『人脈』についてお話ししていきます。
『公になってない情報やチャンスを入手する』『有力なコネクションが出来る』
私が大学生の時に、どこでそんな仕事見つけてきたの?
という公に募集がかかってないような仕事を任せられている人達を観察してみました。
そういう人は共通点がありました。
それは、何か機会が有れば積極的に参加し、積極的に人と話をしている人でした。
私が通った大学は教授も含めて、縦の繋がりも、横の繋がりも強いところでした。
そういう人たちは、教授や先輩、同級生、後輩、他学部の生徒、教授、バイト先の人?とよく交流して、機会がるたびに美術談義をしていました。
そのようにいろんな人と交流していると、もうすでにいろいろな人脈をや情報を持っている人も当然いる訳です。
そうすると、
例えばですが、美術館が企画しているアートイベントの雑用バイトをしてくれる学生を集めているんだけど、一緒にやらないか?
と公募をかけていない話が来たりします。
そこで、美術館の学芸員とコネクションができたりするのです。
そこから自身の活動に繋がっていくこともあります。
私のクラスメイトでも、今は現代アートで美術館にも展示されるようなアーティストになった人もいます。
『オリジナルの方法で成功した人の経験を聞ける』
昔からある王道の「なり方」がある一方、新たなルートもでき、どこにチャンスがあるのかわからない時代になりました。
例えば、イラストレーターならば、持ち込み営業だったり、コンペに出品するなどの、王道がある他、
今はSNSでエッセイ漫画などの発信から、イラストレーターになった方も沢山出てきましたね。
人脈ができると、自分の想像外のルートで成功している話を聞けるチャンスもあると思います。
私のクラスメイトでは、「企業の持っている未来(夢)のビジョンを絵にして可視化する」という今までになかった仕事を作り出し、個人事業主になった人もいます。
私の好きな画家の北村直登さんは、ストリートから売れっ子画家になったそうです。
(北村直登さんとは全く面識ないのですが、大好きなので、書きたかっただけです笑)
自分がしたいと思っていることに、これと決まったルートがない場合、こういう経験を聞くことで、自分オリジナルのルートを作るヒントになるでしょう。
『ライバルと競争しなくても良い』
これは精神的にも楽ですね。
コンペ、コンクール、に出品する場合、多数のライバルを蹴落として1番にならなくてはいけません。
それだけ実力も無くてはいけません。
コンクールの場合、1番になっても、一時的に賞金を手にすることはできるかもしれませんが、それっきりです。
何かに繋がっていけばいいですが、それは期待するものではないでしょう。
人脈ではライバルと競争しなくてもいいし、1番になる必要もありません。
仕事を頼みたいと思う人は、任せるのに適任の人を求めているのであって、何かで1番の人を求めているわけではないからです。
また、この人にはできないだろうなということを頼む人は居ません。
この人ならこのくらいのことを任せられるなという、力量と信頼があるから話を持ってくるので、
自分にはそんな力がないので。。。と断る必要はありません。
自信を持って「是非やらせてください!」と言えばいいですよ。
『宣言しなくては効果薄い』
いくら人脈が増えても、自分のやりたいことを宣言しなくては意味がないとなでは言いませんが、効果は薄くなります。
いくら良い人脈が出来ても、『絵は描いているけど、それでどうかしたいとは思って居ない人』と認識されていては、ほっとかれてしまいます。
美術の話をしていたら、自然と『自分はこんなことがしたいです』と話す機会はあります。
『○○がしたい人』と認識してもらえたら、
「それならこんな経験しておくといいかもしれないよ」と機会を紹介してくれたり、
「それなら、その道の○○さんに紹介してあげよう」と人を紹介してもらえるかもしれません。
どこにチャンスがあるのかわからないので、美術関係の人に限らず、いろんな人に自分のやりたいことを知ってもらいましょう。
『どこで、どんな人脈を作るか』
人脈を作るには美大というのはかなり恵まれた環境でした。
(私は活かせませんでしたが)
でも、美大生でない人では、人脈を作れと言われても、どこで作ればいいのか、なかなか困りますね。
探せばいろいろあるでしょうが、一例を紹介します。
『日展に代表される公募団体に所属する。』
公募団体では、一気にかなりの画家と知り合うことができます。
会員の先生方に講評を受けることも可能です。
公募団体で活動している人は、ギャラリーで活動している人が多いので、委託ギャラリーや、買取ギャラリーで活動したいと思っている人には有力でしょう。
デメリットもあります。
入選する実力が無くてはいけない。
皆んな同じ公募団体を活動場所にしている人達なので、画壇やギャラリーのことには精通しているかもしれませんが、他のフィールドの情報はあまり期待できない。
会派によりますが100号以上の作品を毎年出品しなくはいけないので、制作スペース、材料費、出品料が必要になる。
私の所属していた団体では、130号、S100号、F100号の3作品を毎年出品しなくてはならず、出品料、輸送費、材料費でだいたい15万くらいかかっていました。
出品するだけでは人脈は出来ず、パーティーなどに参加して積極的に交流する必要がある。
など、なかなかハードルは低くありません。
『ギャラリーのオープニングパーティー、レセプションパーティーに行く』
ギャラリーで活動したい人は、直接ギャラリーに売り込むのもありですが、今回は人脈作りという観点からお話しすると、
ギャラリーに行くということです。
展覧会の会期中に作品を見に行きます。
そこで展覧会の作家やギャラリストと知り合うきっかけを作るのですが、作家やギャラリストは仕事でそこにいるので、邪魔にならないように気を付けてください。
悪い印象を与えてしまっては本末転倒です。
なので出来たら、オープニングパーティーやレセプションパーティーのある時に行くのがいいでしょう。
売り込みのときは充実したポートフォリオを作っていく必要がありますが、他の作家の展覧会は売り込みするべき場ではないので、あくまでも作家本人の話を伺いたい、ファンの精神で行きましょう。
出来たら小さいサイズの簡易なポートフォリオを用意しておき、チャンスが有れば、いつも持ち歩いてる体で笑、見てもらえたらいいですね。
『誰でも参加できるクロッキー会、デッサン会などに参加する。』
クロッキー会や、デッサン会は、気楽に参加出来るのがメリットです。
私の経験上、参加者はアマチュアが多いですが、主催者が名のある画家である場合もあります。
クロッキー会や、デッサン会以外にも、いろいろな会やコミュニティがあるので探してみるといいでしょう。
『巨匠のスタッフになる。』
国内外で活躍する大物作家は、スタッフを抱えています。
特に、現代アートでは、絵画よりも大掛かりな作業をしなくてはいけないこともあり、スタッフを複数人抱えています。
何と言っても、巨匠の仕事を生で見えるのが大きなメリットでしょう。
ただ、1番ハードルが高いですね。
信頼関係がある人しかスタッフにはしないでしょうし、
今ある仕事を手放す必要があるかもしれません。
『人脈作りが苦手でどうしてもできないという人は』
知ってもらうということが重要になってきます。
まだ活動らしいことをしていない人には地元の公募展に出品したり、公共的な施設などのスペースを借りて展示するのが良いと思います。
県展や市展など公的なものや、企業など団体が行うものや、役場、病院などの展示スペースなどです。
そのようなところはアマチュアの人がほとんどなので出品するのにもハードルが低く、地元の人間ってだけで特別感があるので、
そのようなところに複数回出していると、ここにこんな絵を描いている人が居ると知ってもらうことができます。
私は、そのようなところに出したことは無いですが、
地元で私という絵描きがいるということを知ってもらえていたので、市役所の企画の生涯学習で油絵講座の講師として呼んでもらえることができ、
それが原型になって自分の絵画教室を開くにいたりました。
『人脈作りも普通の人間関係と一緒』
画家の人脈作りも普通の人間関係と同じです。
コネクションが欲しい、有益な情報が欲しいという気持ちが全面に出てしまうと、中にはそのハングリーな勢いを気に入ってくれる人もいるかもしれませんが、
何か利用されている感じで、悪いイメージを持つ人も居ます。
give & give では誰も相手にしてくれません。give & take を心がけて
相手をリスペクトし、尊重してお付き合いをしましょう。
今回は人脈という観点からお話ししましたが、絵関係の仲間が出来ることはとても楽しいことでもあります。
お互いに刺激になったり、支え合ったり、モチベーションにもなったりします。
逆に人間付き合いに息苦しさを感じることもあると思います。
マイナスにしかならない付き合いならば、無理して付き合う必要はありません。
上手く断捨離しましょう。
『まとめ』
良い人脈ができると、さらに良い人脈と繋がり、有力なコネクションを作ることができ、
公になっていない、情報や、仕事を得るチャンスになります。
どこでどのような人脈を作るか、下調べをして、自分に合った活動方法を見つけましょう。
自分のやりたいことを、広く、多くの人に知ってもらうことが大事です。
良い関係を築けるよう、マナーを守って相手を大切にしましょう。
最後に、
絵で活動したい人の弱味に漬け込む悪い人もいることを忘れてはいけません。
トラブルに巻き込まれないよう、危機管理はしっかり、自分を守ってくださいね。
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