アクリル画家、絵画講師の初香です。
憧れのあの画家のような絵が描きたいと思いませんか?
あなたは憧れの画家はいますか?
どんなところが好きでしょうか?
あなたはその憧れの作風で描けているでしょうか?
私は憧れの作風が全然思うように描けなくて悩みました。
今回は憧れの作風があるけど、そのように描けないと悩んでいる人が、
思い通りに描けるようになるお話をします。
目次
憧れの作風を描きたい

私は20代前半の頃、抽象画に憧れて抽象画ばかり描いていました。
しかし、自分の思い描くようには描けないのです。
10代の頃に基礎的な技術はそれなりに身につけてきているので、具象画であれば、そこまで描けないということはないですが
抽象画となると、何作も何作も描いているのに一向に上手くならない。
憧れの作風があって、こんな風に描きたいというイメージはあるのに、全く力がついていかないのです。
なぜ抽象画となるとここまで描けないのか、経験が少ないうちは上手く描けなくても当たり前ですが、沢山の枚数描いているのに一向に良くならないのか、
理由もわからず、どうしたら思うように描けるかもわかりませんでした。
自分に無いものほど憧れる
そこで、私は抽象画がとにかく苦手分野なのだと悟りました。
具象画が描けるから抽象画が描けるというわけではないのですね。
抽象画って誰でも描けそうと思われがちですが、抽象画ってとても難しいんですよ。
具象画の場合、そこに具体的な形や色、質感が存在していて、写実的な作風ならば、それを忠実に描写するように描けばいいし、
デフォルメしたり、アレンジしたりするにせよ、そこに参考になるものが初めからあるのです。
しかし、抽象画には参考になる形も、色も、質感もありません。
何もないところから、自分で形を生み出し、色を選択し、配置して、そして、面で描いたり、線で描いたり、厚く盛り上げたり、薄く垂らしたり、その表現は自分で考え選択することの繰り返しです。
私にはそのセンスがありませんでした。
人は自分に無いものを持っている人に憧れます。
太ったグデタマの私は、スリムで、ファッションをカッコよく着こなして、バリバリ活動する女性に憧れますが、
それは自分には無いものだから余計に憧れるのですよね。
なのでセンスよく描かれた抽象画は私に無いもので、強く憧れていたんですね。
苦手分野で目指すのはとても苦しい
センスは身につけることができるので、自分はセンスがないと思っている人も悲観する必要はありません。
しかし、元々センスのない私は、センスを身につけるための努力が必要になるので、元々センスのある人のようなペースでは描けるようにならないということです。
当時の私はどうしたらセンスを身につけられるのかも知らなかったので、絵を描くのがとても苦しかったです。
自分の思うように描けずに、自分のセンスに絶望し、これから上達していく希望も持てずに、自分の才能の無さを嘆いていました。
このように苦手分野でどうにかしようとすることは、自身も無くすことになりますし、描いてても辛い、とても苦しいことです。
私は20代半ばに、ふと具象画でアイデアが浮かび、それまで描いていた抽象画とは違う画風で具象画を描いてみました。
そうしたら、とってもスムーズに無理なくするするかける感じがしたのです。
抽象画を何とかものにしたいと思って描いていた時は、絵描きとしてすっかり自信を無くしていましたが、
具象画を久しぶりに描いて、自分もなかなか捨てたものではないぞ、と思えた瞬間でした。
こんなに向き不向きがあるんだということが身にしみてわかりました。
苦手分野を描けるようになるには

得意分野を伸ばす
苦手分野を伸ばそうと思うと、苦しみが伴い、努力と時間がかかります。
絵の上達を目指すのなら、自分の得意分野を伸ばす方が圧倒的に早く上達します。
苦しみながら描くと、どうしてもスムーズな制作にならず、結果描く量も減ります。
得意分野であれば、苦しまずにかけるので、制作ペースも上がり、どんどん描くことができて、上達もスピードアップしていきます。
なので、自分の得意分野を伸ばすことが絵描きにとって1番ストレスなく、効率的に上達できる道だと思います。
自分の得意分野で描くにしても、その中で苦手分野が含まれていることもあります。
例えば具象画を描くのに、形が全く取れないようではいくら色彩が得意でもどうしても未熟さが見えてしまいます。
なので、自分の得意分野で進めるにしても、苦手分野の底上げは必要になってきますが、
苦手分野ど真ん中を目あすよりも、得意分野の占める割合が多い作風を目指すのが良いということですね。
しかし、やっぱり憧れる作風で描きたい!という気持ちも捨て切れるものでは無いでしょう。
苦手分野に特化した練習をする
苦手分野を克服しようと思ったら、それに特化して練習するのが良い方法です。
まずは、理想の作品をそのまま模写しましょう。
自分の理想の絵を描いている人がいれば、まずはそれを徹底的に真似して自分のものにしてしまうのが1番早い道です。
昔の私は真似はいけない、自分のオリジナルのものを描かなくてはいけないと思っていました。
しかし、こういうふうに描きたいなと思う作品があってもそれを参考にもできずに、そんな感じだけれども、真似じゃなくてオリジナルを生み出すってかなりの至難の技です。
これで私は大きくつまづきました。
まずは自分の描きたい絵があるのならば、それを真似して自分のものにしてしまってから、そこからオリジナル色を出していく方が、断然上達も早いですし、自分の思う通りのものが描けるようになるのも早いです。
模写するときに思考停止で描いていてはいけません。
どうしてこの形になっているのか、どうしてこの色になっているのか、どうしてこの配置になっているのか、など、どの絵を形作っている要素が、なぜそのように描かれているのか考えながら模写することです。
そのときにある程度基礎知識も必要です。
色の問題でしたら、色についての基礎的な知識がなければ、気付けるポイントにも気づけないでしょう。
技法書を読んだり、私のオンライン絵画教室で学んだり、基礎知識を身につけましょう。
そして理想の作品がどのような考えの上表現されているのか考えながら何作も模写します。
色や、構図、マチエールなどの課題でしたらこの方法が効果的ですが、
形を取ったり、写実を課題にするのであれば、デッサンをひたすら描くのが効果的です。
このように自分の課題に特化して練習します。
そうしたら、模写した絵の表現をそのままにモチーフを変えてみたり、色を変えてみたりとアレンジして描いてみましょう。
そのように描いていくうちにオリジナル色ある作風が出来上がってくるでしょう。
好きなもの=あなたのベストを出せるものとは違う

今まで教えてきた生徒さんでも、自分の魅力に気づいていない人が多く見えます。
例えば、すごくいい色彩感覚を持っていても、目指すものが違うところを向いていて、自分の良さを発揮できる絵を描いていなかったりするのです。
描きたいものよりも、あなたの魅力を発揮した作品の方がずっと良い絵が描けるといことはよくあることです。
まだどんな絵が描きたいというものが無い人には、私はその人その人の魅力を発見して伝えてそれを伸ばすことが、上達も早くストレスも少ないので、そのような指導を心がけています。
でも、あなたが強い憧れを持っていて、それを追いかけていきたいのであれば、それがあなたらしい魅力になるまで頑張るのも良いと思います。
本人の望みがあれば、私は本人の望みを応援します。
まとめ

人は自分に無いものに憧れを抱きやすいです。
憧れを追って自分も同じようにかけるようになりたいと思っても、自分に不得意なものだと、追うことがとても辛いことになります。
あなたの持っている魅力はもっと自分の得意なところにあると思います。
自分の得意を伸ばした方が圧倒的に上達は早くなります。
自分の得意な作風であれ、まだ技術の未熟なところがあれば、そこの部分は得意でなくても伸ばす必要は出てきます。
しかし、完全に苦手な方向を目指すのはとても苦難の道になります。
それでも苦手分野の方を目指したければ、その苦手な技術に特化して練習をするのが良いです。
自分の理想の絵を、基礎知識に照らし合わせながら、なぜそう描かれているのか考えながら模写しましょう。
何作も模写することで、基礎知識がどう扱われているか学ぶことができますし、その描き方に慣れてきます。
自分の得意の作風の中に練習したことを取り入れてみたり、
得意の絵を描く合間に苦手分野の絵を描いてみましょう。
苦手分野の絵ばかり描くのは、制作ペースが落ちる原因になりますし、苦しい制作ばかりでは自信も無くしてしまいます。
私もまだまだ道半ばです。
一緒に頑張っていきましょう。
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